「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

「自分たちが今シーズン終わった時にどうなりたいか」 2点目を決めた永戸勝也の覚悟とともにリスタートの4-0 [J9節 柏戦レビュー]

 

4-0の快勝

 

アンデルソン・ロペスが圧巻のハットトリックを達成。リスタートの一戦を見事な勝利で飾った。

 

 

 

 

11分に相手のハンドで得たPKを冷静に決めると、後半に入ってからの65分にゴール前の混戦からねじ込んで自身2点目。さらに後半アディショナルタイムにカウンターから左足を振り抜き、マリノス移籍後初めての1試合3ゴールを記録した。

 

 

 

 

当初、指揮官はロペスを起用しない方針だったが、自ら出場を志願。遠征や連戦の疲れもなんのその、90分フル出場しての大爆発だ。いよいよ替えの利かない存在で、相手に与える脅威が他の選手と大きく違うのが事実である。

 

 

 

こうして強行出場して結果を出せば、文句なしで美談になる。ただ、それによって先発の機会がなくなってしまった植中朝日、あるいは試合出場のチャンスがやや遠ざかった塩貝健人のような選手もいることを記しておきたい。

 

 

 

 

ロペスともうひとり、ここへきて別格の存在感を放っているのがヤン・マテウスだ。

 

 

 

この日も右サイドで躍動し、たったひとりで局面を打開できる才能はあまりにも稀有。1点目はPK獲得につながる渡辺皓太の飛び出しに合わせたパスを送り、2点目は永戸勝也のゴールを落ち着いてアシスト。4点目は見事なラストパスでお膳立てした。

 

 

 

 

エウベルが万全の状態ではない今、背番号11はすっかり攻撃の核になっている。先のACLでもそうだったように、相手のレベルに関係なく蹂躙できるのは圧倒的な能力を有しているからこそ。ロペスはもちろん、2列目から飛び出す渡辺皓や植中朝日との相性も抜群だ。

 

 

 

 

そのヤンを気持ちよくプレーさせたのがインサイドハーフの天野純だった。相手選手の中間地点でボールを受け、素早く右サイドへ展開。この形が何度もハマり、ヤンはスペースと時間がある状況で仕掛けて先手を取った。

 

 

 

 

天野自身からすると決定的な仕事ができていないだけに満足しないかもしれない。ただ、誤解を恐れず言えば彼が年間10ゴール10アシストする必要はない。5ゴール5アシストでいいから、チームの潤滑油になる働きに着目したい。しいて言うならば、直接FKを叩き込めば満点だった。

 

 

 

 

満足できない前半戦を過ごした背番号20が、今後のキーマンになる。

 

 

 

鹿島戦がさらに大きなヤマ場に

 

Jリーグで巻き返しを図るためにはもう落とせないという危機感が、選手たちを奮い立たせた。心身とも日疲弊した状態で手にした快勝は再びチームの機運を上昇させていくだろう。

一方で、この勝ち点3がACLショックすべてを払拭してくれるわけではない。フル出場でゴールも決めた左サイドバックの永戸が偽らざる本音を吐露する。

 

 

ヨコエク

 

「相当ショッキングだったけど、試合は待ってくれていなかった。昨日くらいまではまだ落ち込んでいたけど、今日の朝からはこの試合のためにやるだけだと思っていた。いい結果が出たことは満足している。

 

 

 

 

まだショックはショックだし、忘れることはない。でもJリーグもだいぶ落としている部分もあって、自分たちが今シーズン終わった時にどうなりたいかを考えた時に今日は絶対に落とせない試合でもあった。今苦しむか、最後苦しむかみたいなところもあるので、今できることをやろうという感じ。疲れがゼロではなかったと思うけど、やるしかなかった」

 

 

 

 

リーグ戦はまだ半分以上も残っている。何かをあきらめるなんてとんでもない話だが、そろそろ尻に火がついてくる時期なのも間違いない。取り返しがつかないことになる前に、少しでも挽回しておきたかった。その意味でこの勝ち点3の価値は大きい。

振り返った時に、分岐点になるであろう試合だった。経験豊富な松原健も続ける。

「ACLで負けてしまったあとのこのゲームは、ターニングポイントになる部分だった。勝つか負けるかで今後の成り行きがまったく違ってくる。その中でチームがバラバラになるのではなくて一体になって戦えた」

 

 

 

 

内容が100点だったとは思わない。4-0というスコアは快勝か大勝か、あるいは完勝だろう。それでも圧倒的だった印象はない。それは1-5で敗れたアルアインとのアウェイゲームも同じで、スコアほど力の差があったとは思わない。大局的に見て考えるべき事案である。

この勝利を次につなげなければいけない。再び中2日でやってくる鹿島アントラーズ戦はさらに大きなヤマ場になりそうだ。

 

 

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