「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

ポイントになるのは中村俊輔のポジショニングとアデミウソンの働き具合 [2nd9節浦和戦プレビュー] 藤井雅彦 1,816文字

気がつけば2ndステージの第9節である。わずか17試合で雌雄を決するステージ制において、ちょうど折り返し地点というわけだ。

4-3-2-1_2015 ちなみに昨シーズンまでの1シーズン制に当てはめると全34節中の第26節。残り試合数は8試合だ。その頃になると立ち位置はさまざまで、すでに優勝を狙うことが非現実的なチームもあるだろう。現在、年間順位で7位のマリノスも、かなり厳しいと言わざるをえない。一つの指標となる年間3位のFC東京は勝ち点49なので、勝ち点37のマリノスは残り8試合で12差を追いかけなければいけない。

事実、3連勝しても上位陣との差はなかなか詰まらなかった。「あまり価値はない。これで自分たちが上位にいるなら違うけど、下位から中位になっただけ」という飯倉大樹の言葉は少し冷めたように聞こえるかもしれないが、ある意味で真実なのだ。目指すはあくまで頂点であり、最低ラインがチャンピオンシップ出場である。それなのに2ndステージの開幕ダッシュに失敗して下位に沈んでしまった。3連勝で順位を上げても、大きな意味はない。

ここが今シーズン最後の分水嶺といっても過言ではない。負ければ本当の終戦になってしまうだろう。逆に勝てば浦和レッズと勝ち点で並び、上位の背中がわずかながら見えてくる。2ndステージ首位の鹿島アントラーズや現在のところ年間3位のFC東京と直接対決を残していることも追い風になる。今シーズンのリーグ戦に望みをつなぐための戦いである。

マリノスのスタメンは前節と変わらない。唯一、脳震とうから復帰することが予想された喜田拓也が11人に入ったとき、誰がスタメンから漏れるかは非常に興味深かった。しかし喜田のコンディションは万全とは言い難い。浦和戦前日にようやくフルメニューをこなせたが、それまでは別メニュー調整を続けていた。そのため浦和戦は「彼がスタートで出ることはないだろう」とエリク・モンバエルツ監督。ただしベンチスタートの可能性はおおいにあり、そのときは試合展開によって出番があるかもしれない。

 

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浦和3-4-2-1 ピッチ内でポイントになるのは中村俊輔のポジショニングとアデミウソンの働き具合になる。前者はどれだけ高い位置で我慢できるか、後者は守備のタスクをこなしながらどれだけ攻撃に関与できるか。中村が下がった位置でボールタッチに偏り、アデミウソンが槙野智章に連れられて自陣に下がるようでは、マリノスの攻撃はまったく機能しない。

そして、この浦和戦に向けてモンバエルツ監督は「勝つためには戦術的にもフィジカル的にも高いパフォーマンスが必要で、特にメンタル面で強いものがなければ勝てない」と話した。まさにそのとおりで、11人が強いメンタルを持って臨まなければ勝ち点3はつかみ取れない。戦術とフィジカルは二の次で、まずは勝って4連勝を達成し、さらに勢いを大きくするという野心を持つこと。3連勝に満足し、安心していては、浦和という強者を上回れないだろう。

 
【この試合のキーマン】
MF 10 中村 俊輔

 前節・サガン鳥栖戦ではトップ下として圧巻のパフォーマンスを見せた。高いポジショニングを保ち、ボールを受けてからはキレのある身のこなしで相手を手玉に取る。中・長距離のキック精度も高く、CKからのアシストも見事だった。
それでも表情が完全に晴れることはない。自身のパフォーマンスに満足していないのか、はたまた現行スタイルに納得していないのか。多くを語ろうとはせず、すべてのストレスが解消されたわけではないのだろう。
ただ、それでも自身が望んでいるポジションでプレーできるのだから、幸せである。すべては結果で示し、黙らせればいい。それができる環境と状況にあるのだから、背番号10の快活なプレーに期待だ。中村俊輔が楽しそうにプレーする姿を見たい。

 

 

 

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