「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

オフェンス陣がそれぞれのゴールで気分よく次節以降に臨めるのはたしか [2nd6節名古屋戦レビュー] 藤井雅彦 -1,328文字-

最終的なスコアとゲームのハイライトだけを見たら、それは立派な快勝である。齋藤学のファインゴールに始まり、少しラッキーにも見えるアデミウソンの絶妙シュートで追加点、そして伊藤翔のストライカーらしいダメ押しゴールが決まる。守っては中澤佑二とファビオが度々登場してゴールを死守し、久しぶりのクリーンシートを達成した。マリノスらしい会心の完封勝利で5月23日の松本山雅戦以来、実に10試合ぶりの勝ち点3を手にした。

 

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4-3-2-1_2015 試合翌日、エリク・モンバエルツ監督は上機嫌で名古屋グランパス戦を「昨日のようなパフォーマンスを続けていけば、相手にとって手ごわいチームになれる」と笑顔で総括した。冒頭でも述べたように、3対0というスコアは完勝以上の快勝と言っていいだろう。もちろんスコアに比例するようにチャンスの数も多かった。「我々は3点を取って、シュートが2回ポストに当たった。ほかにも1~2回はGKと1対1の場面を作った」(モンバエルツ監督)。ピンチも数回あったが、それはマリノスらしい総力で防いでいる。総合して考えると「昨日の内容からすると6対2くらいのスコアが妥当だった」という見立ては正しいかもしれない。つまり決定機の数の勝負である。ゴール数と同じくらいチャンスの数を重要視する指揮官らしい言葉である。

結果に勝る良薬など世の中にない。だから、まずは勝利を素直に喜ぶべきだ。「この1勝はでかい」と言い切ったのは決勝ゴールの齋藤学。10試合ぶりの白星で流れを大きく変えることだって可能だろう。ここから2ndステージの快進撃が始まるかもしれない。いや、次節のヴァンフォーレ戦以降はそうなることを願うのみだ。

 

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名古屋3-4-2-1 ただし、齋藤やアデミウソンのファインゴールによってチームの課題は見えにくくなったことも事実。三門雄大をトップ下に置き、中町公祐と喜田拓也がボランチでコンビを組んだ中盤トライアングルは、プレー強度と切り替えに軸足を置いた陣容である。それがセーフティーリードをもらったことで、無意識のうちに強度を下げてしまった。集中力という点では90分間持続した好内容だったが、チームとしての内容はやや物足りなさを覚える。

相手あってこそのスポーツだけに、この1試合だけでいまのマリノスを評価することはできない。10試合ぶりの勝利という事実は、9試合勝ちなしという過去を消すのと同義ではない。勝った理由があるとすれば、勝てなかった理由もあるのだ。そこから目を逸らしてはいけない。ただ、本当に久しぶりの勝利で安堵を手に入れ、オフェンス陣はそれぞれのゴールで気分よく次節以降に臨めるのはたしか。

ぶつ切りではなく、継続的な視点で精査しつつ、チームもこの勢いを大事にできるかが肝要だ。

 

 

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