「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

中盤の底に抜てきされたのはプロ4年目の熊谷アンドリュー [2nd2節柏戦プレビュー] 藤井雅彦 -1,802文字-

 

2ndステージの開幕戦で新たな組み合わせを試したマリノスだが、今節は不可抗力で新たな構成で臨むことになりそうだ。エリク・モンバエルツ体制における象徴の一人である喜田拓也がモンテディオ山形戦の前半に右ひざを負傷。強行出場できるほど軽い負傷ではなく、明日の柏レイソル戦は欠場を余儀なくされた。喜田は山形戦翌日から別メニュー調整を続けており、もしかしたら今月中の復帰は難しいかもしれない。

4-3-2-1_2015 そこで中盤の底に抜てきされたのが、プロ4年目の熊谷アンドリューだった。相方になるのは引き続き中村俊輔のため「守備的MFの役割ができる選手」(エリク・モンバエルツ監督)を起用する意図だ。中町公祐が負傷離脱しており、富澤清太郎はジェフユナイテッド千葉に完全移籍した。ほかには「オプションとして兵藤もいる」(モンバエルツ監督)が、ファーストボランチを務めるタイプではないという判断から、熊谷の先発に至ったというわけだ。

中村と、その横にいる熊谷がどんなプレーを見せるか。マリノスを応援する者にとってはとても興味深いコンビである。ほとんどぶっつけ本番コンビで試合に臨む中村は以下のように語っている。

 

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「どうにかして(熊谷)アンドリューの持っているアドレナリンや負けず嫌いなところを横でサポートしたい。監督は、自分が攻撃的でアンドリューは守備的と思っているかもしれないけど、二人でゲームコントロールして、二人でボール回ししたい。これまでチャンスがあったときに良いプレーができていないアンドリューを横でサポートできれば」

 主将らしく、37歳のベテランらしい大人なコメントである。熊谷の課題がメンタルにあることは明白だ。そのポテンシャルの高さを公式戦、特にリーグ戦で発揮できないのは中村にとっても、もどかしいのだろう。自分自身は本来のポジションではなく悶々としたものもあるだろうが、それでも若手のサポートを買って出ている。熊谷にはその事実を肌で感じ、プレーで表現する義務がある。

柏4-1-4-1 チームとしては山形戦での躓きを払拭する勝ち点3がほしい。勝ちたいのはどの試合も同じだが、今季はすでに折り返しを過ぎている。年間順位6位という成績はなんの勲章にもならず、もちろんチャンピオンシップにも出場できない。新体制1年目だから土台作りで良い、というわけではなく、そもそもは樋口体制から上積みする予定でスタートしたシーズンである。昨季以上の成績はもちろん、タイトル獲得や優勝争いに絡まなければ成功したとは言えない。

もちろんチャンスが消えたわけではない。2ndステージに限って言えば、まだ出遅れではない。しかし勝たなければスタートダッシュに失敗したことになるだろう。ポゼッションを趣向する柏との対戦はニッパ球開催ということもあって好ゲームになる期待大だが、その上で勝ち点3をもぎ取って勢いをつけたい。

 

【この試合のキーマン】
MF 25 藤本 淳吾

 熊谷アンドリューへの期待は本稿で触れるとして、ここでは右MFで先発復帰濃厚の藤本淳吾の名前を挙げたい。アデミウソンは山形戦で左足首をねん挫した模様で、練習には合流しているもののベンチスタートの可能性が高い。代わってスターターを務めるのは藤本だ。
前節は「右サイドの攻撃を機能させたい」という指揮官の意向でアデミウソンが右サイドに入った。単独で局面を打開できるスキルは藤本にはないものだが、やはりアデミウソンの適性はセンターラインだろう。右サイドに置いておくのはもったいないし、守備の負担も大きい。藤本が争うべきはアデミウソンではないのだが、現状はそうなってしまっている。
それでもアクシデントもあり、チャンスが巡ってきた。ここで求められるのは雑音を黙らせる結果のみ。端的に言えば、アデミウソンにできないプレーをすればいい。左足で違いを生み出し、ゴールネットを揺らす。コンディションは良いのだから、いまの背番号25ならできるはずだ。

 

 

 

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