「とてもレベルの高い環境の中で大好きなサッカーに取り組めていることが本当に幸せ。F・マリノスの選手は全員がボールを受けたがって、欲しがっている。その状況がありがたいです」[ポープ・ウィリアムインタビュー]
ポープ・ウィリアム選手インタビュー
実施日:1月25日(木)
インタビュー・文:藤井 雅彦
チームが約1年前にもリストアップし、獲得を検討した男。
それがFC町田ゼルビアから完全移籍で加入したポープ・ウィリアムだ。
現在は晴れてトリコロールのユニフォームに袖を通し、充実の日々を送っている。
ヨコハマ・エクスプレスは宮崎キャンプ中に独占インタビューを敢行。
思いの丈を打ち明けてもらい、未来への野望を存分に語った。
F・マリノスの選手は全員がボールを受けたがって、欲しがっている。その状況がありがたい。
――チーム始動日から10日以上が経過し、現在はキャンプの真っ最中です。トレーニングの強度には慣れてきた頃でしょうか?
「噂に聞いていた通り、ものすごく強度が高い印象です。その中で技術が高くて、スピード感もある。とてもレベルの高い環境の中で大好きなサッカーに取り組めていることが本当に幸せ。GK練習もメニューひとつずつに意図が感じられて、言うことない環境でサッカーをできています。シンプルに、すごく楽しい」
――F・マリノスは新監督が就任し、システム含めて新たなチャレンジを行っていると思います。加入前のイメージと違いはありましたか?
「ほとんどイメージ通りです。細かな変化やシステム変更はあると思いますが、大きく変わったとは感じていません。やっているのは、いわゆるアタッキングフットボール。ディフェンスラインを高く保ち、GKには常にアグレッシブなプレーが求められます。攻撃でもGKから主導権を持ってボールを動かすことがスタートになる。僕は加入したばかりの身なので基本となる守備のやり方やボールの動かし方を落とし込んでもらっている最中です。もともと持っていたF・マリノスのイメージから大きくかけ離れていることはやっていません」
――練習内容の特徴として、フィールドプレーヤーに混ざるメニューが多いのでは?
「それはすごく刺激的です。昨年までとは求められるプレーの方向性がまったく違います。僕自身、常に主導権を持ってプレーしたいと考えていましたし、試行錯誤と葛藤の中で過ごした昨年1年間でした。相手の立ち位置ややり方を踏まえて、自分たちからボールを動かす。自分の内側ではそういったアクションを求めていました。そのサッカーにトライしていくと、見える景色がまったく違うものになってくる。ミスも起きてしまう時期ですが、自分の中の感覚を徐々に取り戻していきたい。でも、すごく楽しいです。充実している毎日に感謝しています」
――F・マリノスのようなスタイルを求めていたのですね?
「プロの世界なのでもちろん結果を求められるし、勝つことで報われることもたくさんあります。ただ、自分のキャリアを考えると今が29歳で、年齢的にも中堅からベテランに差し掛かってくる頃です。個人の考え方としても、過程や中身を大事にしたいタイプ。それを求めた上で結果を出すのがベストなので、F・マリノスのスタイルを早く体現できるようになりたい」
――ミスも含めてサッカーを楽しめている、と。
「その通りだと思います。練習試合や練習の映像を振り返って「この時はここにスペースがあったな」と気付きがあるのは、これからもっと成長できる伸びしろ。昨年1年間はほとんど試合映像を振り返っていませんでした。ボールをつなげるような場面を探しても、そのプレーを求められていないのでは余計な判断が入って邪魔になってしまう。フリーになっている味方や空いているスペースが見えてしまうと、結果的に判断が遅れてしまうかもしれない。周りとつながっていなければあまり意味がない。F・マリノスの選手は全員がボールを受けたがって、欲しがっている。その状況がありがたいです」
――今日は初実戦となる練習試合に出場しましたが、見える景色や感じたことは?
「思っていた以上にハイラインを感じますし、判断のところがとても難しい。例えば、試合直後は撒いた水が残っているので滑りやすいグラウンドコンディションですが、晴れていれば時間経過とともに乾いていきます。そうすると時間帯や場所によってボールの伸び方が変わりますし、自分のポジショニングや前へ出るタイミングも変わってくる。味方と相手チームの位置関係だけでなく、もっとたくさんのことを頭の中で考えながら、常にいくつかのイメージを持ちながらプレーしている感覚です」
――体だけでなく、頭が疲れそうです。
「いろいろなことを考えながらプレーするのはたしかに疲れますが、それ以上に楽しさが勝っています。今日の横浜FC戦では、結果的に僕が出ていたタイミングでは負けてしまったけれど、今は結果だけを求めているわけではありません。チームとしてのボールの動かし方、どの選手がどういったボールのもらい方をするのか、どれくらいパスを欲しがるのか。反対に自分の特徴も理解してもらわなければいけないタイミングですし、チームとしていろいろなことを図れる大切な時間。もっともっと突き詰めて、擦り合わせていきたい。結果を追い求めていくのは大前提として、チーム全体が過程の部分を大事にしていますし、クラブとしてブレない信念のようなものがある。そういったところにすごく魅力を感じています」
1年前の自分とは違う感覚があります。来るべきタイミングでここに来ることができたのではないでしょうか。
――あらためて加入に至る経緯について聞かせてください。1年前にも獲得打診があったと取材しているのですが、ポープ選手自身の耳には届いていたのですか?
(残り 3015文字/全文: 5512文字)
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