「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

天野貴史の意地が見たい ~GK鈴木椋大とCB北谷史孝のJ1デビューも [ナビスコ7節山形戦プレビュー] 藤井雅彦 -1,712文字-

 

先週の川崎フロンターレ戦の敗戦をうけ、明日のモンテディオ山形戦は消化試合になってしまった。勝っても負けても、チーム成績としては何も起こらない。そんな残念な試合になった責任はすべて自分たちにある。ここまでの5試合であれだけメンバーを落として戦えばパフォーマンスが安定しないのも当然だろう。特にリーグ戦に出場していない選手たちは試合勘に乏しく、ゲーム体力もない。いきなり公式戦に出されても、できることは限られていた。

4-4-2_2015B だが、そろそろそんな言い訳も通用しなくなってくる。明日の山形戦で、3週連続で出番を得る選手は意外に多い。主力組が週1ペースでリーグ戦を戦っているのと同じように、控え組も週1でカップ戦に臨んでいる。メンバー編成こそ毎回若干の変更はあるが、コアメンバーは変わっていない。富澤清太郎や佐藤優平、天野純に比嘉祐介らはずっとピッチに立っている選手である。チームとしても少しずつ上積みを発揮したいところだ。

それにしても、もともと割り切っていたカップ戦とはいえ、消化試合になるとさらに思い切った采配ができるのがフランス人監督のすごさである。明日の試合では直近のリーグ戦から11人総入れ替えするだけでなく、GK鈴木椋大とCB北谷史孝がJ1デビューする。両者とも経験値は皆無に等しいが、その中で何ができるか。「信頼してピッチに送り出す」というエリク・モンバエルツ監督の言葉は本音と建前のどちらだとしても、とても好感が持てる。

 

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また、中村俊輔や栗原勇蔵、中町公祐といったけが人が多数いる。さらに主力組の大多数を帯同させない関係で、ベンチメンバーは6人で構成する模様だ。つまりアウェイ遠征には17人しか行かない。ベンチに控えるのはルーキーGK田口潤人をはじめファビオ、兵藤慎剛、喜田拓也の主力組にけがから復帰したばかりの奈良輪雄太、そしてFWの控えの矢島卓郎といった面々である。

山形3-4-2-1 繰り返しになるが、勝ったとしてもチーム成績に大きな影響はない。グループリーグ5位も6位も7位も変わらない。賞金もない。とはいえ出場する選手にとって負けていい試合などない。たとえば比嘉は今シーズン先発した公式戦で5戦5敗とさっぱりである。彼自身のパフォーマンス云々ではなく、結果として勝っていないということ。この負の連鎖に終止符を打たさなければいけない。

そして若手にとって公式戦のピッチに立つことは貴重な経験になる。マリノスにとっては消化試合でも、山形にしてみれば決勝トーナメント進出をかけた大事な試合だ。他会場の結果次第では得失点差も絡んでくるため、リードしている状況でも手を緩めず攻めてくるかもしれない。そのときに守備側の鈴木や北谷がどんなプレーを見せるか。経験あるプロの本気を体感できる数少ないチャンスだとしたら、彼らにとっては人生を変える90分になるかもしれない。

 

【この試合のキーマン】
DF 2 天野 貴史

注目と期待の選手は多数いるが、今回は天野貴史を推したい。
先々週のナビスコカップ・ヴィッセル神戸戦では痛恨の転倒で決勝点を献上し、試合後の監督記者会見では名指しで厳しい評価を受けた。そして先週の川崎フロンターレ戦はメンバーから外れるという悔しい状況になっている。
それでも完全なる消化試合となった今節、チャンスが巡ってきた。使われるタイプだけに周りのメンバーや出来次第でもあるが、とやかく言っている場合ではない。とにかく存在意義を示さなければリーグ戦出場は遠のくばかりだ。
ピッチ全体を見渡しても自分より年上の選手は富澤清太郎くらいだろう。年輩選手としての立ち振る舞いも求められるが、それよりも若々しいプレーに期待したい。アマの意地が見たい。

 

 

 

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