「怖がったら終わりだと思っていた」 下顎骨折の角田涼太朗が闘志に満ち溢れる完璧なパフォーマンス [J32節 C大阪戦レビュー]
手負いの角田が勇猛果敢を体現してくれた
スタメン表に角田涼太朗の名前があった。下顎を骨折した浦和レッズ戦から、ちょうど4週間。あまりにも早い実戦復帰に目を疑ったサポーターも多かったであろう。
本人は試合前日から「不安はない。やれる自信はある」と言い切っていた。グラウンドへの帰還が早かったおかげで、患部を除くフィジカルコンディションを大きく落とさずに済んだ。試合前には固形物を食べられる状況まで戻ってきていた。
しかし、である。不安はなくてもリスクはある。骨が完全にくっついたわけではない。つまり完治したわけではない。強い衝撃が加わった際にどうなるのか。できるだけ想像したくない。
すべてを覚悟の上でピッチに立った。
「もちろん相手がいるスポーツなのでどんな接触があるかわからない。でも、そこで怖がったら終わりだと思っていたし、怖がることなくできたのは良かった」
競り合いも接触プレーも臆することなく身を投げ出した。屈強なレオ・セアラに体をぶつけながらボールを奪い、背後のスペースで出されたボールにはスライディングタックルで難を逃れる。
ヘッドギアとマウスピースを装着していなければ、誰が4週間前に下顎骨骨折の重傷を負って救急搬送されたと分かるだろう。それほどまでに闘志に満ち溢れる完璧なパフォーマンスだった。
その様子を間近で見て、ともに戦ったキャプテンの喜田拓也が手放しで賞賛する。
「恐怖感があったと思うけど、そういったものを超越して戦う姿勢は、周りに影響を与えるものがあったと思うし、見ている人に与えるもの、心を打つものがあったと思う。彼の心の強さとファイトする姿勢は称賛されるべきもの。姿は少し痛々しいけど、そういったことも関係なくやってくれたことは仲間として誇りに思う」
手負いの角田が勇猛果敢を体現してくれた。マリノスにとってこれ以上ない追い風となった。
「ほかのチームの結果にまったく興味がない」(喜田拓也)
マリノスが2-0の完勝を収めた約1時間後、ヴィッセル神戸が浦和レッズを2-1で下した。覇権争いはこの2チームに絞られた。第32節を終えて勝ち点2差のまま、残り2試合に向かう。
その頃、ミックスゾーンに喜田拓也がいた。いつも冷静沈着なキャプテンは他会場の結果をもちろん知らない。
(残り 655文字/全文: 1689文字)
この記事の続きは会員限定です。入会をご検討の方は「ウェブマガジンのご案内」をクリックして内容をご確認ください。
ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。
会員の方は、ログインしてください。
外部サービスアカウントでログイン
Twitterログイン機能終了のお知らせ
Facebookログイン機能終了のお知らせ