誤算は實藤友紀の負傷交代と井上健太の退場。汚名返上のチャンスは、きっとやってくる　[ルヴァン杯準々決勝1st 札幌戦レビュー]

2023年09月07日 17時24分　
カテゴリ：ルヴァンカップ • レビュー

カップ戦で存在感を示した選手たち

素晴らしい形で先制ゴールが生まれた。

カウンターで右サイドに流れた西村拓真は、すかさず反対サイドから前線のスペースへ走り込んだ井上健太へ。井上がボールを持った時には札幌守備陣も一定数戻っていたが、背番号17は冷静だった。カットインすると見せかけて中央の水沼宏太へ。

この時点で渡辺皓太が長い距離を走って相手ゴール前へ侵入していた。反対サイドからは井上にパスを出した西村も詰めていた。そこに遅れて入ってきたのが植中朝日だ。若きストライカーの動き出しを見逃さなかった水沼がダイレクトでパスを送ると、植中は相手GKとの1対1を冷静に流し込んだ。

最近のリーグ戦ではメンバー入りから遠ざかる不遇をかこっているものの、コンディション不良があったわけではない。トレーニングでは得意の裏抜けを随所に見せ、ゲーム形式でゴールネットを揺らしていく。得点嗅覚という最大の武器はまったく錆び付いておらず、公式戦の舞台で存在意義を示した。

ビルドアップに参加しながら得点も重ねるアンデルソン・ロペスはチームにおいて特別な存在。ただし彼とて安泰ではなく、競争原理を働かせるためにプレッシャーをかける選手は重要だ。これで背番号11はさらに発奮するはず。カップ戦だとしても植中が結果を残した意味はシーズン終盤に向けて大きい。

小池龍太の長期離脱で手薄になっている右サイドバックで先発した村上悠緋もパフォーマンスも見応え十分だった。とにかくアグレッシブに前方向への意識を保ってプレーしていたからこそ、前半だけで3回あったチャンスを1回でも決めていれば……。

夏には複数のJ2チームから獲得打診を受けたが、マリノスでプレーし続ける道を自分の意思で決めた。カップ戦含めて連戦が始まるのを視野に入れ、静かに牙を研いでいた。練習と練習試合を地道に積み重ね、その日々の価値を示せた事実はチームとして尊い。

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