「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

「何が嬉しい? 何が楽しい? と聞かれたら、F・マリノスにいることが嬉しいし、楽しい。そのメンバーのひとりとして優勝できたら最高だけど、優勝できなくても最高の毎日だから」 [飯倉大樹インタビュー(後編)]

飯倉大樹選手インタビュー(後編)

実施日:7月27日(木)

インタビュー・文:藤井 雅彦

 

 

 

トリコロールから離れていた3年半の間に、他クラブで新たなエッセンスを加えた飯倉大樹。

インタビュー後編では、その思考を余すことなく語ってもらった。

長い付き合いの松永成立や榎本哲也について、ヴィッセル神戸で得た経験、横浜F・マリノスに還元したいこと。そして、自身の将来に向けて。

「良い時も難しい時もあるけど、すべてがHOMEだからこそ」

我が家に帰ってきた背番号21が、リラックスした表情ですべてを解き明かす。

 

前編より続く

 

 

 

シゲさんは昔から変わらずGKに対する情熱がものすごい人。あんなにGKが好きで、突き詰めている人は他にいない。

 

――横浜F・マリノスを離れた3年半を振り返って、どのような時間と感じていますか? 離れたからこそ見えること、感じる部分もあるのでは?

「横浜F・マリノスとヴィッセル神戸は違うクラブ。良し悪しではなくて、違うスタイルや文化、成り立ちの背景があるよね。

 神戸には神戸の良さがあった。予算規模の大きさは誰もが知っている事実であって、能力の高い選手を獲得するのにお金は絶対的に必要だから。チームを強くするための、わかりやすい方法。

 オレは幸運なことに(山口)蛍や(酒井)高徳、よっち(武藤嘉紀)、大迫といった日本代表クラスの選手、あるいはアンドレス(イニエスタ)のような世界的にも有名な選手と一緒にプレーできた。彼らはお金をもらうのに値するプレーヤーで、チームメイトとして過ごす価値、得られるものは本当に多い。ものすごく良い経験をさせてもらった」

 

 

――では、F・マリノスの変化をどのように感じていますか?

「自分が神戸に移籍した頃とその後では、少しやり方が変わったよね。ネームバリューにこだわるというよりも、チームのスタイルに合致する選手をしっかり選んで獲得している印象。F・マリノスの色で勝負して、結果として2019年と2022年に優勝しているのは素晴らしいことだと思う。お金でビッグネームを連れてくるクラブではないし、真面目さや一生懸命な姿勢が根底にあって、少しずつボトムアップしてきた。

 

 

 でも、自分にとってものすごく居心地が良い環境なのはまったく変わらない。一緒にやっていた選手は少なくなってもスタッフには知っている顔がたくさんいる。

 この先は小さな頃からF・マリノスで培ってきたこと、そして神戸で学んだことや新しい価値観、この両方をクラブのために還元したい」

 

――松永成立GKコーチとの師弟関係はまったく変わらないように見えます。

「シゲさんは昔から変わらずGKに対する情熱がものすごい人。20代前半から移籍する33~34歳までずっと指導してもらったけど、あんなにGKが好きで、突き詰めている人は他にいない。日本代表として厳しい重圧を背負って戦って、W杯最終予選のような修羅場もくぐり抜けてきた実績もある。それだけの指導者は日本全体を見渡してもほとんどいないわけだから。一度離れて見たからこそ、より強く感じる部分でもある」

 

 

――練習後にふたりで話し込んでいる姿をよく見かけます。どのような話を?

 

 

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