「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

フロンターレをこれだけ守備に一意専心させる試合があっただろうか。 その点において、マリノスはしっかり力を示した [J21節 川崎戦レビュー]

 

内容で上回った前半にゴールは生まれず

 

 

数字は数字でしかないが、参考資料ではある。

川崎フロンターレに対してボールポゼッションで上回り、パス本数で圧倒した。Jリーグ全体を見渡してもマリノスと同等かそれ以上のボール保持能力を持つチームは、フロンターレしかいない。そのチームに対して、しっかりと主導権を握った。

「まったく何もできなかった試合ではなくて、うまくボールを保持しながら前へ進むことはできていた」と述懐したのはボランチの渡辺皓太。低い位置からのビルドアップで相手のプレスを分散させ、中盤から一気にスピードアップ。相手陣内に生まれたスペースを有効活用した攻撃が効力を発揮していく。

 

 

序盤からチャンスの山を築いただけに、結果的にはそのタイミングで先制点や、さらに追加点まで奪うのが理想だった。選手の多くはクオリティやアイディアに言及したものの、最後は個に頼る部分も多いのがサッカーの常。エウベルやヤン・マテウスが決めていれば、まったく問題なかった。

 

 

だからといって彼らを戦犯扱いするのも違う。いつの時代もサッカーにおいて攻撃は水物。決まる時は複数得点が生まれ、ほんの少しのズレや相手GKのファインセーブがあればゴールネットは揺れない。この日は後者だった。

それよりも冒頭で述べたように、内容で上回ったことに価値を見出したい。近年、フロンターレをこれだけ守備に一意専心させる試合があっただろうか。勝敗にかかわらずボールの握り合いが試合の焦点となっていただけに、マリノスはしっかり力を示したと言える。

内容と結果がいつも比例しないのもまた、サッカーの常である。

 

複数のアクシデントによって苦しい状況に

 

前半にゴールを決められなかったこと以上に痛かったのは、試合前と試合中に起きた複数のアクシデントだった。

 

ヨコエク

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