「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

2ゴールのヤンが右ウイングで本領発揮。 守っては両センターバックを中心に耐久力と粘り強さを見せての勝利 [J11節 鳥栖レビュー]

 

背番号20が会心の笑み

 

立ち上がりの開始3分に喫した失点もなんのその、ヤン・マテウスが熱望していた右ウイング起用で見事な一発回答だ。

 

 

同点ゴールは11分。自陣からのビルドアップでサガン鳥栖のハイプレスをかいくぐると、エドゥアルドから左サイドのタッチライン際で待つ永戸勝也への足の長いパスで一気にスピードアップ。永戸はダイレクトで中央のアンデルソン・ロペスを使し、背番号11が相手と入れ替わるように前進していく。そこからエウベルを経由したボールが右サイドで待つヤンへ。足裏で止めたボールに左足を振り抜くと、シュートはニアハイへ突き刺さった。

 

 

昨夏の加入以降、主に右ウイングで起用されてきたが、本人は少なからずストレスを抱えていた。慣れない縦突破と左足クロスを要求され、ゴールに絡んでも表情はなかなか晴れない。本来のポジションへのこだわりを捨てきれず「(左ウイングは)僕にとってのオプションが減って、プレーの幅が狭くなる。右サイドでプレーしていればもっと貢献できる。左サイドでは僕のすべてを出し切れていない」と何度も繰り返す。その言葉を、目に見える結果で証明した。

 

 

つづく21分には周囲との連係から逆転ゴールをもたらす。ヤン自身が一度ポジションを下げてボールを受け、そこから喜田拓也へ。すぐさま西村拓真へつながり、さらにロペスへ。ロペスがスペースへ出したワンタッチパスに走り込んだのは起点にもなっていたヤンだ。今度は右足で、再びニアハイを射抜いた。

「右と左を比べると僕の能力は右のほうが発揮できるんじゃないかなと、誰が見てもそう感じるのではないか。今日は2得点で貢献できてうれしく思っている」

 背番号20が会心の笑みを浮かべた。

 

 

「結局、やられるところはゴール前だというのはサッカーのセオリー」(畠中)

 

ヤン・マテウスがフィニッシュシーンで輝いた背景に、マリノスが自陣と中盤のつなぎで相手を上回った点がある。前述した2つのゴールが物語るように、程良い距離感でボールが回るパス交換によって相手はすべての対応が一歩ずつ遅れていた。ヤンの対面が2列目のシャドーを本職とする菊地泰智でミスマッチになっていたのも大きい。

 

ヨコエク

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