約3年半ぶり復帰の飯倉大樹が見たマリノスの開幕戦。 「劣勢でも少ないチャンスをしっかりモノにして勝つチームワークがポジティブ」 [J1開幕 川崎戦レビュー]
「結果だけは絶対に譲らないと話していた」(喜田拓也)
前線からのハードプレッシャーで相手GKのミスを誘い、西村拓真が抜け目なく2023シーズン初ゴール。さらにセットプレーのこぼれ球をエウベルが押し込んで追加点。アウェイの地で2点をリードして前半を折り返すスコア推移はまさしく理想的だった。
しかしながら試合全体を通して見ると、マリノスのシュート8本に対して、川崎フロンターレはそれを上回る13本。特にマリノスは後半シュートを1本しか打てず、自陣で過ごす時間も長かった。前後半で与えた決定機は手元の集計で5回。それに準ずる危険な場面も含めてカウントすると、ピンチは両手の指で足りないだろう。
そんな中でも土俵際の粘りを発揮した。病み上がりの松原健はスピード抜群のマルシーニョに幾度となく脅かされたが、どんなに距離が開いても最後まであきらめずに追いかけ、体を投げ出す。それをカバーリングする畠中槙之輔も同様で、最後まで集中力を切らさない対応が光った。
開幕スタメンを飾り、左センターバックと右サイドバックで奮闘した角田涼太朗が頷く。
「我慢強く戦ってこの結果を得られたことはディフェンスラインの選手として手ごたえになる」
相手はおそらく今シーズンもともに優勝を争うであろう強敵だった。強いチームであることを認めた上で、それを上回ったことに価値がある。ボールを握られる時間帯も長く、正直苦しかった。それでもチームとして最後のところは許さないという意識は徹底されていた。
「みんなの勝ちたいという気持ちが出た試合。綺麗なサッカーではなかったかもしれないけど、勝つために一人ひとりがやるべきことをやった」(水沼宏太)
「特に後半は不格好というか自分たちの理想とするサッカーではなかったかもしれないけど、結果だけは絶対に譲らないと中でも話していた」(喜田拓也)
チームの中心選手たちも少なからず手ごたえを感じている。パーフェクトな内容ではないが、大事なリーグ初戦をアウェイで勝利した価値は大きい。
新陳代謝を繰り返しながら少しずつ強くなっていくのがマリノス
この試合のベンチに、先日3年半ぶりに復帰を果たした飯倉大樹がいた。
出番こそ訪れなかったものの、豊富な経験を持つ最年長プレーヤーの存在はチームに安定と安心をもたらす。試合前にはオビ・パウエル・オビンナに対して「集中してテンション上げていけ」と少ない言葉で背中を押したという。
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