「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

隙を狙う時間だけが経過し、スコアが動かない。動くとすればミスかセットプレーから [J25節広島戦プレビュー] 藤井雅彦 -1,787文字-

 

4-3-2-1_矢島 負の連鎖が止まらない。試合に負けると、すぐさま戦犯探しが始まり、次の試合のスタメン表を見れば、それが誰なのか簡単に見当がつく。そんなつもりのない采配なのだろうが、残念ながらそう見えてしまう。プレーする当事者である選手たちがそう感じているのである。これでは、新しく起用された選手もミスを恐れて思い切りプレーできない。消極的なプレーが多くなり、持ち味を出せず、結果も出ない。何もできないまま次の試合ではベンチ、あるいはベンチ外に落ちる。こんな悪循環を続けてきた結果、いまのチームには高いパフォーマンスを維持できている選手がいなくなった。

シュート実質ゼロ本に終わった鹿島アントラーズ戦から、またしても数人の選手を入れ替えてサンフレッチェ広島戦に臨むことになるだろう。SBに関しては小林祐三が右足かかとを痛めているためベンチから外れ、基本線は鹿島戦と変わらない。つまり右に奈良輪雄太、左に下平匠だが、あるいは三門雄太が右SBに入り、奈良輪が左にスライドする可能性はある。ボランチに関しては小椋祥平の先発返り咲きが濃厚だが、モチベーション維持は相当難しい。そもそも鹿島戦でベンチに座っていたことが不可解なのだから。

2列目や1トップの人選も不透明だ。中2日のトレーニングでは実戦形式が行われず、選手たちでさえも誰が試合に出るか予想できない状況になっている。鹿島戦での出来を見るかぎりでは伊藤翔や藤本淳吾、齋藤学も決して安泰ではない。1トップは矢島卓郎か藤田祥史になる可能性がおおいにある。2列目も右足首の状態さえ良ければ兵藤慎剛がスタメンに戻っても不思議ではない。とはいえ、選択肢こそあるが、どれも決定打に欠ける。それが今のチーム状況である。

 

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広島3-4-2-1 苦しいチーム状況に追い討ちをかけるように、ラフィーニャは再び離脱してしまった。右足首ねん挫が完治しないまま鹿島戦に途中出場し、その結果の再離脱である。無理をさせて痛みがぶり返したのだから、これは起用責任であり、メディカル部門の問題だろう。目先の起用にこだわった結果、その次の試合で使えなくなるとは、愚の骨頂だ。アクシデントではなく、ミスを犯したということ。

以上のことから、苦しいチーム状態で広島戦に臨む。それでも、この一戦に関しては直近の流れを無視してもいいのかもしれない。指揮官は「アグレッシブさを取り戻したい」と話すが、実際の試合はお互いに牽制し合い、リスクを冒さない展開になるだろう。互いに隙を狙うものの時間だけが経過し、スコアが動かない。動くとすればミスかセットプレーから。そんな展開は容易に想像がつく。つまり勝機は十分にあるということだ。

勝つとすれば、独特のスタイルを築き上げた広島に対する相性の良さを生かした場合。残念ながら未来につながる勝利を挙げる可能性は、かなり低い。

 

 

【この試合のキーマン】
DF 4 栗原 勇蔵

 前々節は試合前夜からの体調不良で名古屋戦を欠場し、前節・鹿島戦で復帰を果たしたものの、チーム同様に低調な内容に終わった。集中力を保てている試合では他を寄せ付けないプレーを見せるが、一度集中を切らすと凡庸なプレーに終わる。そろそろ悪癖から卒業しなければならない。
先週18日に誕生日を迎え、ハマの若大将も気がつけば31歳になった。そろそろディフェンスリーダーとして、チームリーダーとしての振る舞いを身につけたいところだ。いつまでも2番手に甘んじてはいけない。
対戦相手には、新進気鋭の日本代表FW皆川佑介がいる。ここでの競り合いやボディコンタクトで負けているようでは話にならない。苦しむチームを救うため、自分自身の存在価値を示すための一戦になる。

 

 

 

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