「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

スコア以上の差とはまさにこの試合のこと。完勝と言っていい [J22節仙台戦レビュー] (藤井雅彦) -1,122文字-

 

4-3-2-1_齋藤ラフィーニャ欠 試合前、樋口靖洋監督は2010年8月以来、8試合勝ちなしのベガルタ仙台に対して「結果ほどネガティブな印象はない」と強気に語っていた。

いざ、試合が始まると、その言葉どおりの展開であった。スコアこそ2対1の最少得点差で、決勝ゴールも後半ロスタイムまで待たなければいけなかった。だが、それと内実は大きく異なる。試合開始から試合終了までほとんど試合を支配し、仙台を圧倒した。スコア以上の差とはまさにこの試合のことで、完勝と言っていい内容だった。

唯一、余計だったのが失点であろう。とはいえ、これはGK榎本哲也個人のミスでしかない。ハイボールに対して少しだけ目測を誤り、そのボールを拾われたところから失点を喫した。榎本を責めるわけではないが、チーム全体の問題でもない。次に向けて教訓にすべきは榎本だけで、チームとしては忘れればいい失点だ。

 

 

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仙台4-4-2 この失点によって勝ち点3が勝ち点1になっていたら大問題だったが、この日のチームはそうはしなかった。栗原勇蔵のヘディングで先制し、ミスから失点した。だが、そういった流れと関係なく、前後半ともに主導権を握り、何度も仙台ゴールを脅かした。34分、右サイドからのクロスに伊藤翔が合わせ、そのこぼれ球に下平匠が左足で狙った場面は枠上へ。65分、左からのクロスのこぼれ球に中村が合わせるも、シュートは枠上へ。さらに71分、再び中村がドリブルしながらループで狙ったシュートはバーを直撃した。

そんな流れで、最後に勝ち点3をもたらしたのは伏兵・下平のヘディングシュートだった。開幕当初、下平はセットプレーでゴール前に入る選手ではなかったが、跳躍力と合わせるタイミングの上手さを買われて抜擢された。中村のキックが下平を狙っていたとは思えないが、結果的にできる限り高さを加えたことが奏功した。

勝って3連勝を達成し、勝ち点を33まで伸ばした。しかし順位は試合前と同じ10位で変わらない。依然として5位までは勝ち点差がないとはいえ、状況を一変させるのは難しいのもたしか。望みをつないだことの価値は今後の戦いで決まる。

 

 ※本試合は選手コメントはありません

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