「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

トップに立つために必要なことを知った柏戦には大きな意味があった [2nd7節柏戦レビュー]

 

天野純が結果を出したことを素直に称えたい。このタイミングで1stステージ開幕戦以来の先発機会が訪れたのは、さまざまな要素が絡んだ末の結果だった。大黒柱の中村俊輔は左足甲の打撲が癒えず、チームは3連勝後の3連続引き分けで足踏みが続いていた。それに加えて「今日は守備をしっかりできれば勝利に結びつくと予想していた」(エリク・モンバエルツ監督)という狙いが[4-2-3-1]への帰還を決断させた。

 とはいえ天野がゴールに絡むかどうかは、彼自身の問題だ。オウンゴールを誘ったクロスは、鋭い軌道でカイケを狙った。「中にボールを入れれば何か起きると思った」(天野)。思い切りの良さが結果につながった形である。決勝ゴールは、練習から続けていたニアサイド狙いが奏功した。中町が一発で決めなかったことでアシストがつかなかったのは不運と言うしかない。

この活躍にはモンバエルツ監督も「天野純のパフォーマンスにはとても満足している。私が要求したことに、しっかり応えてくれた」と目を細めた。もちろんこの試合だけでレギュラー定着はない。中村の状況次第では次の試合でベンチスタートになるかもしれない。これからも継続的に結果を残し続けるしかない。

 

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 チームとしては、セットプレーの重要性の再確認する結果となった。前半からクリスティアーノを起点とするセットプレーに脅かされ、後半にはマークミスが発端とはいえセットプレーから失点した。そして前述したように決勝ゴールは天野の右CKがきっかけだ。膠着した試合を決めるのは、やはりセットプレーである。

天野に限らず、今後はリスタートのキッカーが必要不可欠だろう。齋藤学とマルティノスの打開能力はリーグトップクラスだが、それが毎回決定打とはならない。柏レイソル戦でのマルティノスのように不調の日もある。齋藤はこの日もチャンスを決め切れなかった。そんなときに大半の流れを度外視してゴールを決められる武器なのだ。

この勝利で2ndステージの3位に浮上した。川崎フロンターレと浦和レッズの強さ、安定感は頭一つ抜けている感もあるが、このまま追走していくしかない。そのために必要なことを知った柏戦には大きな意味があった。

 

 

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