「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

[移籍の真相] 密かに準備を進めていた川又堅碁の獲得 (藤井雅彦) -2,291文字-

 

ここへきて再びマリノスが積極的な動きを見せている。すでにスポーツ新聞をはじめとする各種メディアで報じられているように、アルビレックス新潟所属のFW川又堅碁の補強に動いている。最初に報じられたのはガンバ大阪戦翌日4日の朝刊だったはずだが、それから数日経った6日に嘉悦朗社長が正式オファーしていることを暗に認めた。筆者を含む報道陣との囲み取材に応じ、“主語”こそなかったものの「良い選手であることは間違いない。まだ若いし、伸びしろもある。来てほしいなぁ」とコメント。これが川又を指していることは明白であろう。新潟サイドが正式オファーに動いているチーム名のひとつにマリノスを挙げていることからも、正式オファーしているのは間違いない。

ではなぜ、ここへきて川又争奪戦が勃発しているのか。簡単におさらいすると川又は昨季ブレイクした左利きのストライカーで、32試合に出場して23ゴールを挙げた。これは得点王の大久保嘉人(26ゴール)に次ぐリーグ第2位の数字である。さらに驚きなのは大久保が103本のシュートを放って26ゴールなのに対し、川又は60本で23ゴール挙げている点だ。川崎フロンターレのようにチャンスの多い、つまり恵まれた環境でプレーしている大久保とは違い、お世辞にもタレントが豊富とは言えない新潟では少ない好機をモノにしなければいけない。そういった中で集中力が研ぎ澄まされたのか、シュート数に対するゴール確率は驚異的だ。そしてW杯前には日本代表候補にも選出されている。

それが今季の中断期を経て状況は一変した。中断前は14試合全試合に先発出場して3得点を挙げていた。それが中断明けは4試合連続でベンチ外となっている。新たに外国籍FWを獲得したわけでもないのに、実績あるストライカーが先発はおろかベンチにも座れない。詳細についてはわからないが、新潟を指揮する柳下正明監督は厳格なタイプで、チームへのロイヤリティーを重んじる性格だ。あるいは指示を無視した選手は、どんなに実績があろうが知名度があろうが、その後は試合に使わない。そうなって移籍の道を選択した選手も多くいる。経緯すべてを知るわけではないので断定はできず、過去のケースとひとくくりにするつもりもないが、新潟のフロントと指揮官、そして川又本人の間にひと悶着あったのだろう。

その末に川又争奪戦勃発である。巷ではマリノスが最初にオファーしたと報じられているが、これにはついて筆者は断定できない。なぜならば、以前から川又をリストアップしていたクラブは多く、たとえばマリノス同様に正式オファーしていると言われるセレッソ大阪は比較的早い段階から川又の動向をチェックしていた。『正式オファー』という言葉を説明するならば、クラブ間で紙のやり取りがあったことを指す。フロントの誰かが代理人に接触しただけでは正式オファーにはならない。

 

 

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