「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

「うれしいよりも悔しい」と今季22点目の前田。 そして仲川は普段以上に喜びを爆発させた [J37節 神戸戦レビュー]

 

スタッツでは神戸に劣っていたが……

 

ケヴィン・マスカット監督が「難しい試合ではあった。どちらのチームにもボールを握る時間があった中で、神戸のほうがボールを握っていた印象がある」とポゼッションで後手を踏んだことを素直に認めれば、ダブルボランチの一角として先発した渡辺皓太は渋い表情で「結果的に勝利したのは良かったけど、相手にゲームをコントロールされる時間が長くて、正直試合内容で圧倒できたかというとできなかった。内容をもっと改善しなければいけないと感じた」と正直な心境を吐露した。

 

 

試合が終わるとスタッツが公開される。それはある一定の角度からの参考資料であり、結果と比例しないこともしばしば。この日の両チームがまさにそれだった。

シュート数は、マリノスが8本に対して、ヴィッセル神戸は2倍近い15本を記録。枠内シュート数も神戸のほうが多かった。そしてボール支配率やパス本数といったマリノスがストロングポイントとしている部分でも、神戸のほうが上回っていた。

 

 

しかし、結果はマリノスが2-0のクリーンシートによる勝利を収めた。内容だけを切り取ると決してマリノスがゲームを支配していたわけではない。むしろ神戸が主導権を握る時間も多く、それは冒頭のコメントが指し示すとおりである。

もしかしたら内容と結果は前節とあべこべかもしれない。一週間前、浦和レッズに対してボールを保持し、多くの時間帯を相手陣内で過ごしたが、1-2で敗れた。内容は良かったが、結果が悪かった。

この日は、内容はイマイチだったが、結果は最高だった。これがサッカーの面白さであり、怖さでもある。

それでも引き分け以上で2位を確定させられるというテーマを加味すると、マリノスは目の前の試合でやるべきことを遂行した。内容とは違った意味で、意義ある勝利だった。

 

 

前田と仲川のゴールで2-0

 

先制点は前田大然だからこそ決められたゴールで、これで今季のゴール数を22に伸ばした。ルーズボールに対して足を止めなかったのは前田だけ。「ああいうボールはDFも難しいし、ボールウォッチャーになることを推測してトップスピードで入っていけた」と涼しい顔で振り返るのがこの男のすごみだ。

 

 

しかし本人に笑顔はなかった。

 

ヨコエク

(残り 584文字/全文: 1571文字)

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