「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

ケガの癒えた天野純が戦線復帰へ。 先発でも途中出場でも「自分にフォーカスする」

 

それは見ている者の心を揺さぶるアシストだった。

第32節・北海道コンサドーレ札幌戦の後半43分、左サイドでボールを受けた天野純が左足でクロスを上げる。一度は相手DFにブロックされたが、こぼれ球に対して迷わず飛び込んでマイボールにする。今度は右足でゴール前へ送ったラストパスが、ひとりだけ反応していた前田大然にピタリ。このゴールが決勝点となり、天野が殊勲のアシストを記録した。

 

 

0-1のビハインドだった後半18分から途中出場でピッチへ。しかし出場直後、アクシデントに見舞われる。スプリントした際、左太もも裏に違和感を覚えていた。プレー続行をあきらめることも考えたが、途中出場の身ですぐにベンチへ引き下がるわけにはいかない。無理をしてピッチに立ち続けるのと、どちらがチームに迷惑をかけてしまうのか。

究極の選択で苦慮した末に、天野は戦い続ける覚悟を決めた。

 

 

訪れたアシストの場面は無心だった。「その瞬間だけはケガのことを忘れていた」と負傷が悪化することを顧みずに、無我夢中でルーズボールに身を投げ出した。持ち前の技術ではなく、かといって華麗でもない。熱と気持ちがこもり、とにかく泥臭かった。

途中出場の選手がエネルギーを吹き込むことに成功した瞬間だが、あくまでも先発した選手たちへの感謝を忘れない。

 

 

「前半は自分たちのサッカーができない部分もあったけど、スタメンで出場した11人が相手をしっかり走らせて疲れさせてくれていた。自分が出場したのは残り30分くらいで、その時点で相手が疲弊していたのは分かっていた」

自らに課せられた役割を全うしたに過ぎない。その背景には第31節・湘南ベルマーレ戦がある。

 

ヨコエク

(残り 527文字/全文: 1265文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

日本サッカーの全てがここに。【新登場】タグマ!サッカーパック

会員の方は、ログインしてください。

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ