「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

仲川輝人はその性能を証明した。彼にとっての2018年が開幕したことは間違いない。ただ、試合はすべてを手放しで喜べるものではない [Lカップ 4節 FC東京戦レビュー]

 

先々週のアルビレックス新潟戦と同じで、前半は見るべきところの少ない低調な内容だった。それについて指揮官は「非常に残念な前半で、受け入れられないような内容」、「今日はとにかく自分たちのテンポが遅過ぎた」、「間違いなく言えるのはハッピーではなかったということ」とさまざまな言い回しで記者の質問に応対した。戦術的な質問はあえて聞き流し、前半の出来の悪さだけを強調した。

 ハーフタイムに檄が飛んだのは容易に想像できる。それを受けてプライドをのぞかせたのは下平匠だ。「このままではダメだとハーフタイムに言われたけど、言われなくてもみんな分かっていたし、お金を払って見に来てくれている人がいる以上、このままでは終われないと思って後半はプレーした」。サイドバックから不慣れなセンターバックに位置を変えたが、与えられたタスクをしっかりと全うした。

その後半は、狙いとするゲーム支配ができていた。FC東京を完全に押し込んだ状態でハーフコートゲームを展開し、中央とサイドをバランスよく使いながらのフィニッシュパターンも多彩。各選手が的確な立ち位置をキープしているからこそ、攻撃のボールを失ってからのセカンドボール回収もスムーズに進む。攻撃から守備への切り替えで相手を追いこみ、マイボールにする役目はアンカーの中町公祐やその周辺に立つ山田康太が担当した。

ゴールの形も素晴らしかった。1点目は左サイドの仲川輝人を起点に、中町からのパスを吉尾海夏が落とし、伊藤翔が豪快に蹴り込んだ。各選手の意図と呼吸が絶妙にシンクロした結果で、まさしくコンビネーションから生まれたゴールと言える。2点目は、その直前に指揮官の指示で右サイドにポジションを戻していた仲川の鋭いクロスをファーサイドの伊藤がきっちり押し込んだ。相手GKが対応しにくい鋭利なクロスと、ストライカーならではの巧みなポジショニングが光った。

 

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