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Interview近藤祐介さん/その3「パスは“思いやり”」

かつてFC東京などでプレーし、2016シーズンかぎりで現役を退いた近藤祐介さん。現在はスクールで少年の指導をしながらときおり応援番組『Ole! FC東京U-23』(レインボータウンFM)の解説のためにFC東京U-23のホームゲームを訪れている。その近藤さんを、昨年末に直撃。ご自身のことから育成の現場、そしてFC東京U-23について、いろいろとお話をうかがった。第3回はさらに少年指導を掘り下げ、サッカーの本質に近づいていく。

――けっこう厳しく言い渡したんですね。
近藤祐介 そうですね。遊んでいるのではなく、上達させるためにシュート練習に取り組ませているんだということ、ゲームをやらせてあげたいけれどもこれではできないということを伝えました。やる気があるならチャレンジに行け、へらへらしてやる気がない人間がまじっているとほかのひとに迷惑がかかるから――と言い含めたんですけれども、そうするとやはり空気はピリッとする。もちろん緊張しているから、どフリーでも外すわけですけど、最終的にはみんな決めたんですね。みんなをもう一度集めて「緊張した?」と訊くと、「緊張した」と。そのくらいの緊張感を持ってやろうよ、そうしないと上手にならない、と最後に言いました。
――実戦では、スペースは一瞬空くかもしれないですが時間がなく、もちろん心身のプレッシャーがあって極限の状態ですよね。だからプロでもシュートを外すわけで、どうすれば決定力が上がるかという根本的なところに関わってきそうな話でもあるなと思いました。どのスポーツもメンタルの側面があるじゃないですか。なかなか公式戦の場で平常心というわけにもいきませんし。
近藤祐介 そうなんですよ。ハートが弱かったら技術や体力に優れていても意味がない。下手でも「こいつらに負けたくない」と、泣くほど悔しがる子のほうが伸びますよ。ぼくは基本的に「どうこうしろ」とは言わないんです。問いかけて子どもたちのほうから意思表示をさせる、言わせる、気づいてもらう、やる気になってもらう感じですね。「いまのどう? ほかにコースあった?」と、問いかけて、全部言わせる。リフティング、対面パス、スクエアパスと練習を進めていく度に、それぞれ「注意事項は何?」と訊ね、あらためて再確認させます。でも集中力がないと、たやすい練習でもできないんですよ。全然できないときは、なぜできないのか、何が足りないのかを訊ねる。すると「集中力が足りない」と言う。わかっているならやれよということなんですけれども、わかっていても、あらためて意識しないとできなかったりする。ドリブルなしで、手でパスする練習もやらせるんですけど、それができない。手でできなかったら脚でできないですよね。
――技術というかスキルをどう考えるかですね。足許だけやっていればいいというものでもない。
近藤祐介 トラップしてから考えたら、もう遅いんですよ。その前にある程度フィールド上の情報は集めておいて、来たらどうするかを考えておかないとダイレクトのパスが成立しない。敵が来ても、味方がここにいるとわかっていれば、ダイレクトで落とせばそのボールを捌けるじゃないですか。もう一回動き直せば、

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