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【有料記事/羽生直剛との惜別Part1】羽生直剛から最後のメッセージ「このクラブでこれをしたいんだというひとのところに、ボールは転がる」(2017/01/05)

円熟した状態でFC東京を去る羽生直剛。その力をジェフ千葉で活かしてほしい。

円熟した状態でFC東京を去る羽生直剛。その力をジェフ千葉で活かしてほしい(※写真は2016年に撮影したもの)

1月5日、羽生直剛がジェフユナイテッド千葉へと完全移籍することが正式に発表された。イビチャ オシム監督の薫陶を受けた黄金期のひとりである羽生は、オシム監督が日本代表指揮官へとその任を変えると、呼応するようにオシムジャパンの一角を占めながら、2008年、第一期の城福浩監督体制となるFC東京に移籍。以降、指揮官が替わりポジションを失っても、その度に戦術を理解し、チームに貢献する働きで、出場機会を獲得してきた。
年長者となって以降は特にリーダーシップに磨きがかかり、精神的支柱となってきた羽生。しかしクラブ、あるいはチームへの貢献度、影響力と、自身の選手としての立ち位置とのバランスを考慮した末、古巣への復帰とも言うべき移籍を決断したようだ。千葉は永らくJ2に留まり、昇格することができないでいる。東京で培ったものを活かし、千葉をJ1に昇格させることができるのか。
羽生直剛からの、最後のメッセージをお届けする。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

――以前ジェフ千葉にいたときはシャドーストライカーでバンバン点を獲っていたじゃないですか。いまニュー羽生になってまったくちがう、10年から10数年前とはちがう姿を見せることになるわけですけど、そのわくわく感はありますか。
羽生直剛 わくわく感……いや正直、「あ、羽生落ちぶれたな」って思われるほうが怖いですね(笑)。いやもちろん、ぼくのことを昔から知っているひとには「ジェフのときにはこういう選手だったな」と思われているなかで、いまこうやって(変身して)帰るわけだから。最初、その印象はあると思うんですよ。だけどこうやって生きてきたんだというのを示さなきゃいけないと思ってるし、それができないと、帰った意味がないと思っていて。そこはもう、わくわく感というか、どちらかというと危機感みたいなもののほうが強い。

――まあその危機感を抱いていたからこそ、この30代を勝ち残ってこれたのでは。
羽生直剛 そうですね。自分のなかでは危機感の連続で、これで終わっちゃうかもしれないというなかで、ずっとここ何年かはやってきたし、だからいまがんばんなきゃいけないと思ってきた。まあそういうひとなんだと思うんですよたぶん、おれの生き方は。苦しかったり、もちろん「いらねぇ」って言われたり賛否両論あるなかで、自分のプレースタイルこそそうだと思うし、みんながみんな(羽生を)いい選手だって言うわけじゃない。フィジカルがどうだ、ちっちゃい(背丈)がどうだ、スピードがどうだ、と。ひとりも抜けない、とか。すごいスルーパスを出すとか(自分のプレースタイルは)そういうのじゃないから、誰もがいい選手だと言うわけじゃない。そのなかで、自分にとってはネガティヴかもしれないことでも向き合って、それでもそこに、評価してくれるひとのため、その評価を得るためにやっていく連続だと思うし。だから苦しまなくなったら、苦しむのがいやだったら、やめたほうがいいというか。そういう、立ち向かうモチベーションがないんだったら、もうやめたほうがいいっていう。
だから最後は東京でやることすら――選手としてやるのか、

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