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「化学反応を楽しみにしています」と、石川。あと一歩の欠落を埋める18番というカードが、通算50ゴールで東京を勝利に導くか

石川直宏と徳永悠平を先発で起用、森重真人をメンバーに含める理由を、安間貴義監督はこう述べた。
「足りないのは最後に勝敗を分ける点を獲るところ、守るところ。そこでマンパワーに頼りたいな、と」
ボールを保持して決定機をつくるところまではできるようになったが、ゴール前の精度と力強さを欠き、相手にはゴール前での執着を見せつけられて試合に敗れている。それが現在の安間東京だ。いくら道中でパスをつなぐことができても、肝心のペナルティボックスで劣勢となっては意味が薄れる。もっとも重要なゴール前の攻防に勝つべく、安間監督は持てるカードをすべて投入しようというのだ。

「マンパワー」は人間性の意味も含んでいるようだ。
「トク(徳永)を勝って送り出したい。ナオ(石川)が苦しんでいるのを見ている。モリゲ(森重)がストイックに取り組んでいるのもみなわかっているし、サッカーは報われないといけないと思う。もうひとつ何かをかけた試合になることで、あと一歩が変わればいいと思うし、変わると思っています」

毎年のように「まとまらなければ」という言葉を繰り返している吉本一謙も、最後の試合が持つ意味を深く認識していた。
「ふたり(石川と徳永)が安心してクラブを去ることができるように、最後、しっかりまとまったゲームをしたい。チームもそうですし、スタジアム全体でも。いろいろな気持ちがみなさんにあると思いますけど、ふたりのために、ことし東京がやってきたことのために、みんながまとまれる試合にしたいですね」

強靭な意志を持ち、常に前向きな髙萩洋次郎も同様だ。
「いろいろな思いが最終戦にはあると思う。今シーズンに関しては結果が出なかったですけど、いちばん重要な試合だと思って、しっかり責任を持ってプレーしたい」
得点ができていないこと、得点するかたちが見えてこないことは髙萩も認めている。そのうえで髙萩が言ったのは「個々の能力が噛み合ったときに3~4回は訪れるチャンスを決めるときの選択と判断を正しくすることで得点を挙げたい」ということだった。
キープレーヤーとなる石川について髙萩は次のように述べた。
「ナオさんは動き出しやゴール前で仕事ができるひとだと思うので、できるだけ周り、近くにいて、シュートチャンスをつくれるようにしたいと思います」

「出場時間はナオ次第」と、安間監督。行けるところまで、ということだろう。石川も「みんな骨は拾ってくれると思う。まずはあしたの試合で出し尽くす」と笑い、疾走する気に充ちている。翌日のJ3もJ1の試合次第で、起用法は12月1日時点では決まっていない。18番は、まずはJ1最終節に全力を傾注することになる。
そこに過度の緊張はない。

前掲した安間監督の言葉は、石川が入ったことによる化学反応を期待しているようでもある。その意味では石川のファーストタッチ、ファーストプレーがチームに与える刺激と影響は大きい。
「最初のプレーはどうなるのか」と問うと、石川は次のように答えた。
「理想はいろいろあるんですけど――

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