青赤20倍!トーキョーたっぷり蹴球マガジン

【マッチレポート】レポート/リザルト◆J1第24節川崎フロンターレ対FC東京/見えた可能性!切り拓く力の一端は梶山陽平のキープ力(2014/09/21)

レポート/リザルト◆J1第24節川崎フロンターレ対FC東京/見えた可能性!切り拓く力の一端は梶山陽平のキープ力(2014/09/21)
・<概要>リーグ戦12戦負けなしも四試合連続の引き分け
・レポート
・試合経過
・リザルト

○<概要>リーグ戦12戦負けなしも四試合連続の引き分け
9月20日、全国各地でJ1第24節が開催された。勝点35で7位のFC東京はアウエー等々力陸上競技場にて、勝点43で2位の川崎フロンターレと対戦。この対戦カードで2005年以来となる0-0のスコアで引き分け、勝点1を加えて36とした。これでリーグ戦は12試合負けなしだが、順位はひとつ下げて8位。
試合終了後、三田啓貴は整列に加わらず急いでベンチへ。すぐに左足のシューズ、レガース、ソックスを外し、足首をチェックした。その後、三田はテーピングで左足首をぐるぐる巻きにしてミックスゾーンを通り過ぎている。
東京は次週祝日の23日火曜日、ホーム味の素スタジアムにて徳島ヴォルティスを迎える。

○レポート
「これだけメンバーが変わっても、これだけ質が保てるのはウチだけだと思う」
「別に3ボランチだろうが、ダブルボランチだろうが、まったく関係ない。空いているところに行くだけですから」
川崎フロンターレの中村憲剛がこう豪語するとおり、メンバーが変わっても、的確なサポートでトライアングルを形成し、テンポよくつないでいくパスワークの絶妙さは変わらなかった。
たとえば前半6分、東京の左サイドでボールを奪った川崎は、谷口彰悟と小林悠がいるその場所へさっと中村憲剛が近づき、その三角形から再び展開していった。このように三人めが駆けつけて連動の基礎をつくるプレーは絶え間なくつづいていた。

いっぽう、東京の攻撃にも興味深いものがあった。前半12分、自陣奥深くにいた高橋秀人が、その時点で最前線となる武藤嘉紀へと長いボール。武藤は下がりめの米本拓司へと戻す。米本は、この間に右サイドを疾走して武藤よりも前のゾーンに侵入していた河野広貴へ。河野はこのあと折り返せず右コーナー付近で攻撃が終わってしまうが、当てて戻してまた当てる、それに左右の揺さぶりを加える、といった攻めが、東京の攻撃機会には目立っていた。

これを言い換えると、人間を使う川崎と、コートを使う東京のちがい、となる。選手が集まった場所がプレーエリアになる川崎。コートの幅いっぱいに選手が走り、空いたスペースにボールを飛ばす東京。
東京は前半25分と29分に、エドゥーが武藤嘉紀の先にある「スペース」を狙ってシュートにも近いやや強めのパスを送ってもいる。攻撃と守備という意味でも対極だが、攻撃の仕方も大きく異なる。
個人戦術やグループ戦術を連結させてチーム戦術に仕立てていくかのような川崎と、チーム戦術を遂行するなかで個々の奮闘が生じていく東京という意味での対比もあるだろう。いずれにしろ、個性的なチーム同士のぶつかり合いという意味では非常に見応えのある試合だった。

前半45分間の東京は忍耐の連続だった。最前線からプレッシャーをかけてもボールは獲れないという判断なのか、ファーストディフェンダーは河野広貴。トップ下のラインに相手ボールホルダーが侵入すると、その時点で河野が右に左にと動き、プレッシャーをかけに言っていた。河野のラインか中盤でボールを獲れればショートカウンターやハーフカウンターになるが、獲れなかった場合は引いて構え、そこに中盤や前線が帰陣して守備に加わる。
チャレンジ&カバーの意識も強かった。前半23分、河野が川崎のボランチ、パウリーニョを追い(「(川崎は)ボランチ経由で、というチームだったので、しっかりボランチに行かないといけなかった。まずはボランチに出させない、ということをやった」河野)、そこに高橋秀人が駆けつけてボールを奪おうとする。同27分には、高橋が相手をマークしているところに森重真人が駆けつけた。
こうした守備網を突破され、シュートを撃たれた場合には、権田修一がファインセーブを連発した。それに、ゴールキーパーに到達する前に懸命な守備で決定機の創出を防ぐ場面もあった。前半8分、小林悠の前に入り、何もさせなかった高橋のディフェンスはその典型だろう(東京ゴール裏からは秀人コールが起こった)。

しかしこのままでは得点を奪えない。ロングカウンターの成功率が低そうに映った前半を反芻するかぎり、点を獲るには、より高い位置でボールを奪うしかないように思えた。
ハーフタイムにはいつも的確な修正を施すマッシモ フィッカデンティ監督も同じ思いだったのだろう。「あらためて前線からしっかりとディフェンスをしよう」と告げ、東京の勢いを活性化させて、セカンドハーフの拮抗した展開につなげた。

より意図が明確になったのは、4-4-1-1(4-4-2)にフォーメーションを変更してからだ。

(残り 3909文字/全文: 5904文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

日本サッカーの全てがここに。【新登場】タグマ!サッカーパック

会員の方は、ログインしてください。

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ