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東京初戦突破!「みっともないかもしれないけれど」(高橋秀人)【マッチレビュー/リザルト】2013 第93回天皇杯2回戦 FC東京対横河武蔵野FC_第1報(09/07)[4,055文字](2013/09/07)

◯マッチレビュー

高橋秀人が秀逸なことを言った。
「みっともないですけどね。でもサッカーはそういう世界なので」
横河武蔵野FCの選手たちはJリーグ以上の気持ちを球際で見せた――と、高橋は言う。そういう相手に華麗に勝つことができるのだろうか?
1部と3部で実力差がある。ならば最終ラインでボールを奪ったらショートパスでビルドアップ、相手の守備を崩して3-0、4-0で勝つべきなのだろうか?

かりに相手を圧倒して5-0で勝ったとして、それはすばらしいことなのだが、しかしどれだけの実質が含まれているかは別の話だ。
横河武蔵野FCは今年度も東京都の厳しい予選を勝ち抜いただけでなく、今季のスタートから吉田康弘監督による新チームで、中盤でボールを奪い主導権を握って攻めるサッカーにトライ、それをほぼそのまま、FC東京を相手に表現してきた。
家族や同僚も見守るビッグマッチで精神的にも充実し、格上の相手にいつやられるかわからないと、細心の注意で隙をつくらないよう、必死に守ってきた。
その相手に手こずりながら、最終的には退場者が出たことによる数的不利をものともせずに、横河の守備を凌駕し、1点を奪って勝った。そこに価値がある。

1-0で物足りない?
だがサッカーは相手のある相対的な競技だ。横河武蔵野FCの一つひとつを上回った結果の勝利に、課題はあっても問題はない。初戦の突破を素直に喜びたい。

高橋の言う「みっともない」プレーとは、たとえばときに最終ラインで、ヘディングで大きくクリアしてグラウンダーでつながない、必死な様子を指す。しかしそれが重要であるとは昨年の同じカードで学んだことで、じつは高橋はこの言葉を、試合前に小平で口にしている。この1勝は一日で得たものではなく、一年間の積み上げによるものなのだ。横河武蔵野FCは昨年よりも、ラインもボールの獲りどころも上げて東京をがっちりと守備にはめる上達ぶりを披露したが、東京も東京で成長している。競い合って生まれた好ゲームだった。おそらくこの試合からも、東京が学んだことはあるだろう。

くしくも両チームは中位にいる。横河武蔵野FCはJFLで12位。FC東京はJ1で10位。互いに温厚な性格が似ているが、それはぬるさにもつながりかねない。この東京決戦を契機に、両チームが進化のスピードを早めてくれることを祈ろう。

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