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「きょうは1点も獲られる気がしなかった」(高橋)【レビュー2/コメントアーカイヴス】東慶悟、太田宏介、徳永悠平、渡邉千真、高橋秀人/2013 Jリーグディビジョン1 第19節 FC東京対大分トリニータ_第2報(08/03)[6,231文字](2013/08/05)

◆レビュー2

大分トリニータのゴールキーパー丹野研太は試合後にこう言っていた。
「1失点めは獲られて戻りながらの守備でうまく崩された。先制点を獲られると、どうしても相手のほうが技術が上なのでポゼッションで廻される試合展開になってしまう」

個の力でFC東京が大分を上回っていたことはまちがいない。

渡邉千真            日本代表1キャップ、J1得点ランキング1位(19節終了時点)
東慶悟              日本代表招集経験あり
長谷川アーリアジャスール  日本代表招集経験あり
ルーカス                  シドニー五輪ブラジル代表
米本拓司                日本代表1キャップ
高橋秀人                日本代表
太田宏介                日本代表1キャップ
森重真人                日本代表
チャン ヒョンス              韓国代表
徳永悠平                日本代表
権田修一                日本代表

先発メンバーの肩書きをあらためて列べると眼が眩みそうだ。これで強くないほうがおかしい。ことにボランチからうしろは現役A代表が五人もいて、一種のプラシーボ効果もあるのか、自信に充ちたディフェンスで相手にゴールを割らせない。J1再開後の二試合は無失点だ。

「きょうは1点も獲られる気がしなかった」とボランチおよび3バックの中央に入った高橋秀人が言えば、「いまディフェンスが安定しているので、1点獲れば勝てる。見ていてもやられる気がしない」と1トップの渡邉千真が言う。

夏場に差し掛かり、守備のやり方を意図的に変えてきている点については、権田修一と高橋秀人から何度か解説されていて、それはコメントとしてこの媒体でもご紹介してきた。
この対大分戦前日の談話では権田が前かうしろかではなく「コンパクト」であることを強調していたが、それは実践できていた。たとえば8分、大分守備陣が長く蹴ったボールは、東京のボランチの高橋の位置に落ちて、ダイレクトで渡邉の許に送られている。東京の網に引っかかってしまったのだろう。

また権田は「前からプレッシャーをかけにいくか、うしろでセットするかという大雑把な話ではない」と言っていた。これは高橋が以前から言っている「その中間の守備を模索している」という発言と符合する。対大分戦のあと、高橋は次のように言った。
「獲りに行く/獲りに行かないというような二極化した守備だけでなく、そのあいだのやり方ができるようになってきたのは成長の証だと思います」

清水エスパルス、それに大分のチーム力を考えると、相手の攻撃が弱く、東京の守備が相対的に強いとは言える。しかしそれでもきちんと無失点に抑えるのはなかなかできることではない。どういう守備をするかが選手たちに見えているからこその安定なのだろう。

ただ、この大分との試合、相手とマッチしないところをどう解消するかが最初は見えていなかった。
太田は「どうするんだろうと思いながらやっていた」という。東京の4-2-3-1と大分の3-4-2-1とが合わさったときに生じる隙間が大分にプレーするスペースを与えていた。

そして東京は高橋秀人を最終ラインに下げた3-4-2-1にフォーメーションを変更する。
実時間で26分になる直前、公式記録上では26~27分に3-4-2-1へ移行。そのあとに「シュート撃て」コールがあった。

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