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【コラム】権田修一の視点 試合運びの巧さ(2012/10/04)

試合巧者の鹿島、未熟な東京

来る対鹿島アントラーズ戦について石川直宏に訊くと、六分ほどのあいだに「鹿島は試合巧者」という言葉が二度、三度と飛び出してきた。
試合運びの巧さというのは、超絶タレント軍団が流動的で異常に巧いつなぎをするとか、脚の速い選手が大勢揃って前がかりに爆発的なハーフカウンターをするとか、セットプレーで身長185cm以上の選手が六人くらいジャンプするなどという戦い方とは異なり、一見してわかりやすいものではない。それでいて通年では、たとえチームの調子が悪かったとしても最低このくらいは勝てる、という実力の担保となる能力だ。
残留争いに巻き込まれそうな位置にいる今シーズンであっても、どこか油断がならない、順位に関係なく警戒すべきチームであると鹿島が印象づけられるのは、そうした試合巧者ぶりとは無縁ではない。それはFC東京に欠けている部分だから、試合巧者と呼ばれるチームを相手にしたときには不安が大きくなる。県立カシマサッカースタジアムですっきり勝った記憶が少ないのも致し方がないところだろう。

今季の東京は、開幕前からACLラウンド16までは一気に走りきり、その後によい再スタートを切れず、徐々に回復してきていまがある。
さらにこまかく負けが込んだ時期を見ていくと、それは二回ある。一回目はサンフレッチェ広島、鹿島アントラーズ、ベガルタ仙台など守備力の高いチームに手を焼いた3月末から4月末までの一カ月間。二回目はACLラウンド16後の中断明け、6月16日の再開初戦である対横浜F・マリノス戦から、7月28日の対アルビレックス新潟戦まで。特に横浜、新潟との二試合は何もできずに敗れ去っただけに、そうとうチームが疲弊していたのだろうと擁護もできる。

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