「スタンド・バイ・グリーン」海江田哲朗

【この人を見よ!】vol.52 不動の強さ ~DF16 山越康平~(23.9.22)

今季、センターバックは最もアクシデントが続発したポジションだ。人を代え、立ち位置を変え、どうにかしのいでいくなか、最終ラインを支え続けたのが山越康平である。
空中戦とフィジカルコンタクトにとりわけ強く、強靭な身体を武器とする外国籍選手との競り合いでも一歩も引かない。むしろ、力と力のシンプルな勝負で、相手とバチバチやり合うことに格別の充実感を漂わせた。
「チームにとって欠かせない主軸のひとりになる」と決意を固めて臨んだ2023シーズン。最後、山越はどのような境地に達するのだろうか。

■どんな状況でもやり続けられるのは特殊な能力

1‐1の同点で迎えた後半アディショナルタイムだった。北島祐二の蹴ったフリーキック、山越康平が斜め後ろにジャンプしながら頭を当てる。土壇場でのヘディングシュートが決まって、東京ヴェルディはあちこちで歓喜爆発。山越はサポーターの待つスタンドへと一目散に駆けていった。

6月11日、J2第20節のファジアーノ岡山戦、こうして東京Vは今季初の逆転勝利。アウェーの地で貴重な勝点3を獲得する。

珍しく派手な仕事をしたことについて、山越は笑みを浮かべてこう語った。

「アディショナルタイムにゴールを決めたのは初めてですね。喜び方はいかにも不慣れな感じになってしまいましたが、チームを勝たせる仕事がしたいといつも思っていますし、ここからそういう選手になっていければ。僕にも、できれば目立ちたいという気持ちはあります。ヒーローになりたい」

ピッチで自らの価値を証明することで報酬を得るサッカー選手なら当然と思う一方、「実直」を絵に描いたような山越がそんな言葉を口にするんだと可笑しかった。

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