「スタンド・バイ・グリーン」海江田哲朗

【この人を見よ!】vol.48 最終ラインに君臨する日 ~DF23 谷口栄斗~(22.8.11)

東京ヴェルディのアカデミーで育ち、国士舘大を経て、今季から新加入。谷口栄斗はここまで24試合1得点と主軸として堂々たる働きを見せている。守備力の高さに加え、両足から繰り出す正確なフィードで攻撃の起点にもなれるのが魅力だ。
クールな見た目とは裏腹に、時折発露する烈しさはどこからくるのか。将来性豊かなセンターバックの現在地とこれからを探った。

■ふたりは2009年春に出会った

ルーキーイヤーのすべり出しは順調そのものだった。

2月27日、J2第2節の栃木SC戦(3‐0○)で先発出場のチャンスをつかんでJリーグデビュー。3月26日、第6節のモンテディオ山形戦(3-3△)でプロ初ゴールを決めた。

谷口栄斗の隣には、アカデミー時代から関係を築いてきたひとつ上の深澤大輝がいる。

「相手のフォワードとポジション取りでバチバチやり合っていますね。本人は『これくらいフツーっしょ』という感じなので頼もしい限りです」(深澤)

ふたりの出会いは2009年の春。谷口は東京ヴェルディジュニアの新小4セレクションに合格し、ランドの門を叩いた。

「まったくの別世界にきた感覚で、緊張や怖さもあって打ち解けるまでは少し時間がかかった気がしますね。1学年上の大輝や渡辺皓太くん(横浜F・マリノス)、トモくん(大久保智明/浦和レッズ)たちが仲よくしてくれたおかげでだんだんチームになじむことができた」

そう語る谷口の記憶に深く刻まれている出来事がある。ある日、土のグラウンドで行われた練習試合だ。年上のチームを相手に深澤は少しも臆することなく戦い、果敢にスライディングし、ゴール前で身体を張り、全身泥まみれになってファイトした。

「相手やピッチコンディションに関係なくプレーしていて、すごい選手だなあと。そのときからずっと、自分はあの背中を追いかけてきた」

「栄斗とは小さい頃から一緒で、遠慮なく言い合える間柄。あいつ、僕にはいつもタメ口ですからね」と深澤は笑う。一方、谷口は「大学時代、よくご飯に連れていってもらい、そのときは先輩後輩の関係だと思っていました。少なくとも自分は。ただ、ヴェルディに帰ってきてからは、いい意味で壁がなくなった気がします」と言った。

僕の眼には、大人になったふたりはすっかりバディ(相棒)の関係に映る。

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