【トピックス】検証ルポ『2019シーズン 緑の轍』第一章 監督業の孤独(19.12.15)
第一章 監督業の孤独
■You. Ask. Me.
いつ明けるとも知れない、鬱陶しい長梅雨が続いていた。
6月18日、午前。練習を終えた選手たち、スタッフ陣が続々とクラブハウスに引き上げてくる。ギャリー・ホワイト監督は軽い足取りで緩やかな坂道を下り、こっちに向かって歩いてきた。ひとりだった。
クラブハウスの玄関口、ホワイト監督が右手を差し出し、「おつかれさまです」と僕は握り返した。いつものことである。
手をほどいた僕は目線を外し、すれ違おうとした。だが、ホワイト監督はその場を立ち去ろうとしない。
「Interview tomorrow?」
毎週の囲み取材のことである。通常、試合の2日前に行っていた。
「No,no. Next tomorrow」
明後日は、Day after tomorrow だと気づいたが、まあ、通じてるみたいだし、どうでもいいかと思った。
ホワイト監督は僕をじっと見つめ、人差し指を立てる。「You. Ask. Me」と単語を区切りながら、噛んで含めるように言った。今季の始動から約5ヵ月、僕のつたない英語力は把握済みだ。
えっ、何を訊けって? 何度か短い言葉の応酬があった。
そこでのやり取りを要約すると、こうなる。
「もうすぐ夏の移籍ウインドーが開く。次の取材の場で、どんな選手がほしいのか、自分に尋ねてくれ。君のメディアはクラブの上の人間も読んでいる」
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