【コラム】データで考える……湘南と運命の大一番を前に、チームの完成度は?
とうとうJ1リーグのラス前、第33節・湘南との直接対決がやってまいりました。
できればこの試合までに残留を決めておきたかった。決められなくてもせめて、湘南よりも多くの勝点を積んで迎えたかった。しかし後悔しても始まりません。とにかくこの試合に勝つしかないのです。今回このコラムでは、32試合を戦ってきたデータから、この終盤に完成してきたチームの力を考察してみたいと思います。
▼完成に近づいた堅守速攻
今季ここまでの横浜FCの戦いは、三つの時期に分けられます。
第1期は、開幕から第10節まで。攻守にバランスの良い4バックの陣形を組み、前線からのプレスで主導権を握り、しっかりビルドアップしてボールを保持して攻めることを目指しましたが、結果は10試合勝ちなし、3分7敗に終わりました。
第2期は、第11節から第21節まで。中央に3枚のCBを置く3バックの陣形を組み、守備時は左右のウイングバックも最終ラインに入る5バックで失点を減らすことを目指しました。自陣に引き込む守備から、攻撃も手数をかけずに相手の守備が整わないうちに攻め込む、いわゆる『堅守速攻』です。11試合で3勝3分5敗と、最下位を脱出することに成功して3週間のサマーブレイクに入りました。
第3期は、第22節から第32節まで。サマーブレイクの間に攻守にブラッシュアップを図り、「守備をより堅く、そこから良いカウンターを増やしていく」ことを目指しました。いわば『3バックで堅守速攻』の熟成期に入ったと言えるでしょう。11試合で4勝2分5敗。湘南と柏から勝点2差の最下位で残り2試合を迎えます。
その三つの時期のデータを表で比較してみようというのが今回のコラムの趣旨です。
まずそれぞれの時期の獲得勝点、得点、失点を比較してみましょう。
1〜10節 | 11〜21節 | 22〜32節 | リーグ平均 | |
獲得勝点 | 3 | 12 | 14 | − |
1試合平均勝点 | 0.3 | 1.1 | 1.3 | 1.37 |
得点 | 8 | 7 | 15 | − |
1試合平均得点 | 0.8 | 0.63 | 1.36 | 1.28 |
失点 | 27 | 14 | 14 | − |
1試合平均失点 | 2.7 | 1.27 | 1.27 | 1.28 |
こうすると、第3期はかなり良い戦いができていることは一目瞭然ではないでしょうか。第1期は攻守ともにボロボロでしたが、第2期では失点数をリーグ平均レベルにまで減らすほど守備が改善されました。しかし第2期は得点が取れなかった。それが第3期では、守備を第2期レベルに保ったまま、得点が倍増してリーグ平均を超えています。
平均獲得勝点『1.3』は、32試合に直せば『41.6』。もし通年でこのペースで勝点を取れていれば、現在の新潟の位置(10位)にいられる計算です。伊藤翔が約1カ月前に話していた、「やっとJ1の試合として成立する感じにはなってきた」というのは、そういうことかなと思います。以下、さらに細かく、攻守のデータを見ていきましょう。
▼守備の向上が得点増につながる
まずは守備から。それぞれの期間で、1試合平均の被ボール保持率、被30メートルライン侵入回数、被ペナルティエリア侵入回数、被シュート数、被ミドルシュート数を比較します。被ミドルシュート数についてはリーグ平均値が不明です。
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