「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

(新外国人の補強について)「来ても、来なくても、このチームで戦うことに変わりはない」(齋藤) [宮崎キャンプ 練習試合広島戦]

[練習試合 サンフレッチェ広島(J1)戦 リザルト]

日時:2月12日(金)11時~
場所:シーガイアスクエア1
対戦相手:
形式:45分×2本
スコア:0-1(0-1、0-0)
得点者:1本目29分ミキッチ(広島)

正直言って、チームの進捗として見るべきところは非常に少なかった。昨シーズンまでの主力メンバーに前田直輝を加えた11人がピッチに立ち、この面々が現時点でエリク・モンバエルツ監督の考える“レギュラー組”であることは明白。それにもかかわらず、攻守ともに良いところをほとんど出せずに宮崎キャンプ最終日の練習試合を終えた。

 サンフレッチェ広島が強者であることは間違いなく、相手はゼロックス・スーパーカップを約1週間後に控えている。対してマリノスは開幕まで2週間の猶予があり、この日はキャンプ最終日ということで疲労もピークに達していた。さまざまな条件が異なる両チームの対戦は、公式戦のように言い訳無用の戦いではない。同じ土俵で比べるのは難しい。

その中でも、目的を持ったパフォーマンスを見せなければ意味がない。システムは不変の[4-2-3-1]で、攻守の切り替えや縦へのスピードを強調した攻撃などの狙いも同じ。唯一の変更点である右MF前田もほとんど良さを出せずに終わった。独力での局面打開に定評のある選手なのだが、その状況にならなければ良さが見えにくい。まだ遠慮があるのか、高い位置で仕掛けられる場面でパスを選択し、モンバエルツ監督の怒号がピッチに響き渡っていた。

また、肝心要の中村俊輔が疲労困ぱいだったこともチーム全体が低調に終わった一因であった。連日の居残りシュート練習がこの日のコンディションに影響を与え、特にゲーム後半はボールロストを連発。広島のプレッシャーが速く、強かったとはいえ、あまりにも簡単にボールを渡してしまった。これではチームの攻撃が立ち行かないのも当然だ。

 

 

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新加入選手と大黒柱の低調なプレーを見て、2本目途中に指揮官が動く。まずボランチの三門雄大に代えて中町公祐を投入してボールサイドでの強度を高める。同時に前田に代えて兵藤慎剛を久しぶりに2列目の一角として起用。前線でのレシーバー役をこなせる選手として再び見直す一手に出た。さらにその後、なかなかボールを受けられない伊藤翔に代わって仲川輝人を投入。「裏を狙う」(仲川)という意図でピッチに立った。

交代出場の3選手(兵藤・中町・仲川)はそれぞれ持ち味を発揮した。しかしながら、戦況を大きく変えたとは言い難い。公式戦さながらの臨機応変な采配はある一定の可能性を示したものの、この配置を今後も続けていくかは微妙なところ。端的に言うと、途中出場の3選手がスタメンを奪取したとは現時点でいえない。そして、今後もテストしていくのに開幕まで残り2週間という時間は、とても短い。

出場した選手に大きなアクシデントなく終えられたことは好材料だ。本来、CBでのテストが予定されていた栗原勇蔵は左ふくらはぎ付近の違和感で欠場したが、長期離脱ではない。また、GK榎本哲也が堅実なプレーを見せたことも安心材料といえるだろう。けが人続出だった1年前とは状況が大きく異なり、選手個々に限ればひとまず順調な仕上がりといえる。

しかし、である。チームとしての上積みは皆無に等しい。責任感が増す一方の齋藤学は危機感を露わにしつつ、今後の決意を口にした。

「難しいけれど、チームを変える何かをオレから発信しないといけない。そうしないと今年もこのままなんとなく終わりそうな気がする。(新外国人の補強について)来ても、来なくても、このチームで戦うことに変わりはない。いる選手がどう考えているかが一番大事なこと」

 開幕はもう目の前に迫っている。

 

 

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