「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

高いレベルで層の厚さを増している両SBやボランチに手を加える様子は一切なかった [十日町キャンプ5日目(練習試合:いわきFC戦)]

日時:7月21日(金)15時~
場所:当間多目的グラウンド
対戦相手:いわきFC
形式:30分×3本

スコア:3-0(1-0、1-0、1-0)
得点者: 1本目15分天野純、2本目14分前田直輝、3本目7分ダビド・バブンスキー

 

 

十日町キャンプも終盤に入った6日目。前日に行った新潟医療福祉大学戦の3本目に出場したメンバーが、いわきFCとの1、2本目に出場した。中澤佑二や齋藤学といった、いわゆるレギュラーの面々である。

 先発の11人に関しては、昨日の3本目とまったく変わらなかった。つまり先発を入れ替えて組み合わせを試さなかったということ。「新しい発見はありません」と気持ち良く言い切ってしまうエリク・モンバエルツ監督の潔さには清々しささえ覚える。

レギュラー組の顔ぶれは、リーグ戦中断前の11人がベースとなる。違うのはこの日から練習に合流したウーゴ・ヴィエイラのコンディションが上がっていないため、1トップに富樫敬真が入ったこと。そして十日町キャンプには帯同しないマルティノスに代わって右MFに前田直輝を起用した。そのほかのポジションは5連勝時終盤のメンバーが中心である。

 

 

下バナー

 

 かくしてリーグ戦再開週となる来週、メンバーの入れ替えがあるのか。現実的には今キャンプでメンバーをシャッフルしなければ、今後テストする機会はないだろう。来週は29日の清水エスパルス戦に向けた準備に時間を割くのが通例で、そこでメンバーを大きく入れ替えるのでは混乱を招く可能性が出てくる。

もちろん、前述したようにウーゴ・ヴィエイラとマルティノスに関しては、来週から主力組に入るかもしれない。あるいは2本目の途中にパク・ジョンスからミロシュ・デゲネクにスイッチしたのは、両者がポジションを争っている証拠だ。ただ、ここへきて高いレベルで層の厚さを増している両SBやボランチに手を加える様子は一切なかった。

 もっともレギュラー組のパフォーマンスが及第点だったこともたしか。ダビド・バブンスキーの猛追を受けながらもトップ下の席を確保したい天野純は、見事な直接FKで欠かせない存在であることを実証。左SB山中亮輔は“らしい”オーバーラップからのクロスでアシストに成功し、そのボールを受けた前田直輝はコンスタントにゴールという結果を出している。

しかし、である。選択肢が無数にある状況でテストしないのはもったいない気がする。失敗しても許されるのがキャンプのメリットとも言えよう。失敗を重ねることで得られるものもある。その中でたった一つでも発見があれば、それはリーグ戦再開に向けて大きな収穫となる。デメリットは皆無に等しい。

清水戦で誰が先発のピッチに立つかはわからない。ただ、いずれにしても残り16試合をその11人で乗り切ることは不可能。前半戦がそうだったように、けが人や累積警告といったアクシデントに襲われたとき、控えていた選手に出番がやってくる。そういったシチュエーションを少しでも想定していれば、今回のようなマネジメントにはならないはずだ。

チーム全体としては密度の濃いトレーニングを重ねながらも、練習試合でインテンシティの高いプレーができていた。今日現在は「疲労困ぱい」(中澤)だろうが、コンディショニングという点では来週に入ってから調節すればいい。問題があったとすれば、チーム作りという観点でのマネジメントである。

チームは明日、キャンプ最終日に午前練習を終えて横浜に戻る。

 

 

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ