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「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

「このたび、下平匠は現役引退を決意しました。これからも日産スタジアムに出没すると思うので、気軽に声をかけてください」 [下平匠の「匠の視点」]

(匠の視点vol.32)

構成:藤井 雅彦

 

 

11月5日に現役引退を発表した下平匠氏が、定期連載しているヨコエクに特別寄稿してくれた。

スパイクを脱ぐ決意をした今、胸の去来するものを余すことなく語る。

初めて明かすエピソードや今後の人生設計についてなど、必見の内容になっている。

F・マリノスサポーターはもちろんのこと、南葛SCをはじめとする他クラブのサポーターも、そして下平匠ファンにも、全員に目を凝らして読んでもらいたい。

 

 

 

 

ガンバ大阪ジュニアユースの仲間たちと大阪府トレセンのセレクションを受けて、自分ひとりだけ落ちた。仲間の背中がものすごく遠く感じて、めちゃくちゃ悔しかった。

 

このたび、下平匠は現役引退を決意しました。

 

 

 

 

 

5歳で初めてサッカーボールに触れて、18歳でプロサッカー選手になって、36歳でスパイクを脱ぐ。まさか30年以上もボールを蹴り続けるなんて、まったく想像していませんでした。

振り返ってみると、ターニングポイントはいくつかありました。自分は同年代でトップを走っていた選手ではなかったし、それなりに苦しい経験もしてきたと思います。

中学校1年生の時、ガンバのジュニアユースの同級生20人くらいで大阪府トレセンのセレクションを受けました。自分ひとりだけ落ちた。実話ですよ(笑)。

帰り道、みんなで自転車のペダルをこいだのを鮮明に覚えています。仲間の背中がものすごく遠く感じて、めちゃくちゃ悔しかった。僕にとって最初の挫折です。

「絶対に負けへん」

 心の中でそう誓ったから、必死に練習してユースに上がれて、さらにトップチームに昇格できた。

サイドバックに転向したのも、そのセレクション落選がきっかけでした。それまでトップ下をやっていたけど、コーチから「サイドバックをやってみないか?」と言われて……。

 

 

 

 

試合に出られるなら、ポジションはどこでも良かった。こんな形の運命もあるんですね。もしトップ下や攻撃的なポジションにこだわっていたら、今の自分はいない。巡り合わせと運を感じずにはいられません。

プロになっても、最初の3年でまったく試合に絡めなかったら大学に行き直して勉強しようと思っていたんです。でも、ありがたいことに1年目からちょこちょこ試合に使ってもらえて、タイトル獲得も経験させてもらった。怪我人がいたり、チーム状況もあって出番をもらえたのは、我ながら運が良かったと思う(笑)。

 

 

試合前日は眠れないから睡眠導入剤を飲んでいたんです。たしか24~25歳の頃からジェフを満了になるまで、ずっと。

 

24~25歳くらいの時に、Jリーガーの平均年齢が26歳くらいという厳しい現実を知りました。その時は大宮アルディージャに所属して試合にも出ていたので、漠然とだけど『35歳くらいまでプロを続けられたらいいなぁ』と想像していました。

結果的に35歳にプラス1年で36歳までサッカーを続けて、お金をいただけた自分は本当に幸せ者。引退リリース後には普段あまり連絡を取らない人からもたくさんメッセージをもらって、サッカーでつながった縁で温かく送り出してもらいました。

正直な話をすると、去年の終わりに引退しようかなと考えていました。だから今年はロスタイムのイメージじゃないけど、サッカーができる環境を与えてもらった感謝を全力で表現しようと決めていました。怪我もあってチームに迷惑をかけてしまった部分もあったけれど、自分自身としては後悔や寂しさはありません。すべてやり切りました。

 

 

 

もし心残りがあるとしたら、南葛SCをJリーグのカテゴリーに上げられなかったこと。それが加入した時の岩本さん(義弘/GM)との約束だったから。加入した2021年が関東2部リーグで、そこから関東1部リーグ、JFLと3年間プレーして、自分は引退して南葛がJリーグの舞台へ、という青写真だった。結局、カテゴリーを1つしか上げられなかったのは自分の力不足だけど、南葛でサッカーを続けられたことには感謝の気持ちしかありません。

南葛には本当にいろいろな選手が所属しています。自分もそうだったように、仕事を掛け持ちしている選手も多い。ちょっと前までは練習時間が夜で、仕事との両立が大変な場面もある。

でもね、そんな中でもみんな本当に楽しそうにサッカーをしているんです。それに交じって一緒にボールを蹴れたことは一生の宝物。まるで子どもの頃に戻ったような気持ちでサッカーを楽しめました(笑)。

 

 

 

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