フルタイム出場中のアンデルソン・ロペスが7戦5発。 もし90分間トータルでのパフォーマンスが落ちたとしても、3秒あれば力を誇示できる [J3節 G大阪戦レビュー]
ゴール数以上に気になるのは……
内容と結果が比例しないのは、サッカーの世界で過ごしていればよく遭遇する事象だ。苦しむチームがワンチャンスをモノにして勝利するケースも珍しくない。それだけ偶然性の高いスポーツの裏返しでもある。
昨日の試合、マリノスのシュート11本に対して、ガンバ大阪は21本を放った。宇佐美貴史は両チーム合わせて最多6本のシュートを打ち、マリノスゴールを常に脅かしてきた。さらにCKはマリノスが3本に対して、ガンバは11本。苦しい展開を端的に物語る数字と言えよう。
内容と結果を反比例させるトリガーが、ゴールという結晶である。どんな展開でも、たったひとつのゴールがすべてを変えてしまう力を持つ。面白さと怖さが同居している部分でもある。
そのゴールを決めたアンデルソン・ロペスは稀有な存在としか言いようがない。ここまでチームでリーグ戦フルタイム出場を続けているのは彼ひとり。その7試合で勝負強く5得点をマークし、2年連続得点王に一直線だ。
前述したシュート数やCKの数字はガンバの攻勢、マリノスの劣勢を指し示すものであり、つまりロペスのプレー機会は序盤から決して多くなかった。優位性ある形でボールを受けてシュートに持ち込む場面は皆無に等しかった。それでもワンチャンスを逃さない集中力と胆力が、アンタッチャブルな選手の所以である。
これだけの存在感を見せつけられると、あえてベンチに置く采配が難しい。2022年から在籍しているロペスはこれまで筋肉系の故障がほとんどない。連戦連勤できるのが強みのひとつで、もし90分間トータルでのパフォーマンスが落ちたとしても、3秒あれば力を誇示できる。
彼が有給休暇を取得するのは累積警告の場面くらいだろう。その試合に該当した対戦チームはラッキーだ。さて現在、累積3枚。どこで4枚目の警告を受け、どの試合が出場停止になってしまうか。もちろん3枚のままシーズンを終えるのがベストだが、残り31試合を無傷で終えるのは難しいだろう。背番号10はどれだけ我慢強く振る舞えるのか。
長いシーズンのターニングポイントになるかもしれない。
植中朝日と塩貝健人について
マリノスのサッカーはロペス頼みでもロペス依存でもないが、最終局面で最も信頼できる選手であることに疑いの余地はない。代わりはチーム内だけでなくリーグ全体を見渡しても簡単に見つからない。いたとしても予算的に手が届かない場合がほとんどだろう。
(残り 763文字/全文: 1926文字)
この記事の続きは会員限定です。入会をご検討の方は「ウェブマガジンのご案内」をクリックして内容をご確認ください。
ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。
会員の方は、ログインしてください。
外部サービスアカウントでログイン
Twitterログイン機能終了のお知らせ
Facebookログイン機能終了のお知らせ