「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

アデミウソンは自らの技術レベルの高さと格の違いをワンプレーに凝縮させた [1st3節松本山雅戦レビュー] 藤井雅彦 -1,298文字-

 

 

とりあえずはアデミウソンさまさまである。ゴールに近い距離とはいえ、あのこぼれ球の浮き球を、あの角度からダイレクトで狙うという発想は、日本人にはなかなかできない。そもそも打っても枠に飛ばす技術がない。できるとしたら大久保嘉人か宇佐美貴史クラスの選手だけだろう。アデミウソンは自らの技術レベルの高さと格の違いをワンプレーに凝縮させた。

 

https://www.youtube.com/watch?v=ywLW6pwhH70

 

あの時間帯に、しかもあのような形で先制点を取ればマリノスは勝ち点3にかなり近づく。松本山雅はロングボールやセットプレーを駆使するチームだが、それは決して強者の戦術ではない。個々の能力で劣るチームが、組織力と知性を最大限活用して勝ち点を積み上げていくサッカーだ。ビハインドを背負った時点で能力は半減し、途端に手詰まりになってしまう。

4-3-2-1_2015逆にマリノスは先制点を取ったことで何もリスクを冒す必要がなくなった。これがスコアレスの展開だとゴールしたい気持ちを抑えきれず、逆に危険なスペースを提供してしまう。特に両SBやボランチが上がり過ぎる傾向にあり、中澤佑二とファビオが苦しい戦いを強いられる。しかし先制できたことで、まずは守備に軸足を置きながらの戦いが可能になった。唯一、中町公祐だけは意欲的な攻め上がりを見せ、そして試合をほぼ決定づける追加点を挙げた。

後半終了間際には藤本淳吾が彼にしかできないゴールを見せてくれた。このゴールで藤本自身はさらに波に乗っていくだろう。松本には申し訳ないが、勢いをさらに大きくするきっかけをもらった試合だ。

 

 

下バナー

 

松本3-4-2-1残り4試合で、1試合少ない首位・浦和レッズとの勝ち点差は『7』。この差を逆転するのはあまり現実的ではないが、2位に上がるチャンスはおおいにある。現在2位のサンフレッチェ広島とは勝ち点差『3』で得失点の差もわずかに1。そしてマリノスは次節、勝ち点で並ぶガンバ大阪との上位対決に臨む。ACLの関係で2試合少ないガンバは同勝ち点でも相手が上だろう。それでも直接対決で叩く価値は大きい。

これまでも述べているように、この4連勝は内容が抜群に良いというわけではない。相手のレベルや調子に助けられた部分は大きい。上位陣との対戦ではなく、逆にマリノスよりも上にいる浦和や広島に敗れていることが現在のチーム力を示しているのかもしれない。ガンバ戦は簡単な試合にはならず、キャンプ中の練習試合を参考資料にする限り、かなり劣勢を強いられるかもしれない。

まずは我慢のゲームになる。相手がガンバならば、内容の悪い勝利でも大きな価値がある。ここまでの4連勝とは訳が違う。その前に川崎フロンターレと対戦するナビスコカップがあるが、30日のガンバ戦がさらに楽しみなものになった。

 

 

 

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ