「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

「優勝したい、マジで。だからチームのためなら何でもしたい。オレはマジで優勝できると思っているから 」 [杉本健勇インタビュー]

【杉本健勇選手インタビュー】

実施日:11月1日(水)

インタビュー・文:藤井 雅彦

 

杉本健勇が約2年ぶりにヨコハマ・エクスプレスのインタビューに登場だ。

苦しみ抜いた末の今季初ゴールの背景には、明らかにされていない怪我との戦いがあった。

ある決断を迫られた彼を衝き動かした熱い想いとは……。

終盤には今シーズンに懸ける意気込みが言葉となって表れる。

「優勝したい、マジで」

感情豊かな男が、F・マリノスにいる今を語り尽くす。

 

 

 

手術するべきか悩みました。でも『オレはここへ何しに来たんやろ』という想いが込み上げてきて……

 

――3月に加入してから、なかなかゴールが生まれませんでした。それ以前に出場機会もかなり限られていました。ルヴァンカップのグループステージに出場できない事情があったとはいえ、かなり苦しい時間を過ごしたのでは?

 

「今だから正直に言えることだけど、ルヴァンカップに出場できないのはキツかった。加入する前から分かっていたこととはいえ、それがなければスタートで出られるチャンスは間違いなくあったと思う。スタメンどころかメンバーにも入れないのは、自分の中でちょっとキツいなぁと感じていました。でも、繰り返しになるけれど最初から分かっていたことなので、気持ちを切り替えてやるしかないな、と」

 

 

 

――夏頃には怪我で離脱している時期もあったと耳にしました。

 

「怪我が重なってしまって離脱している時期があったんです。

 8月の終わり頃の練習試合で右肩を負傷して、しっかりと完治させるために手術するべきか悩みました。1週間くらい考えて、ドクターやトレーナーとたくさん話をしたし、もちろん病院でも検査をしました。ただ手術をすれば、復帰するまでに4ヵ月くらいかかるので、今シーズンが終わってしまう。

 

 

 最後に決めるのは自分で、自分にしか分からないこともあります。ものすごく悩んだけど最終的に『オレはここへ何しに来たんやろ』という想いが込み上げてきて……。それで手術しないことを決めて、怪我を繰り返さないようにトレーニングを再開しました。

 そうしたら今度は右足の親指を怪我してしまって……。ボールが思いっきりつま先に当たって、靱帯を痛めてしまった。足の裏までめっちゃ痛くなって、また離脱することになってしまいました。難しい時期でしたね」

 

 

 

――悪い出来事が重なったタイミングだったわけですね。これほどまでに試合出場とゴールから遠ざかった経験はあまりなかったと思いますが、どのような心境で毎日を過ごしていたのですか?

 

「試合に出られないのはもちろん悔しかったです。ただ、どんな状況でも自分にできることをしないといけないなと思っていました。そこはちょっと大人になったなと思います(笑)。若い時は自分のことしか考えていなかったし、正直言って『オレがよければええわ』という考えの時期もありました。

 試合に出られないタイミングでも、いつか絶対にチャンスが来ると思ってやっていたし、重要なのはそのチャンスを生かせるかどうか。チームの調子はずっと良かったけれど、長いシーズンのどこかで苦しくなる時期があるかもしれない。その時にオレが流れを変えるプレーやゴールを決めてチームを助けたいと思っていて、チャンスをずっと待っていました」

 

 

 

 

 

弱音を吐けるヤツは強いんですよ。オレ、昔はそう思っていなかったけど、最近はだんだんそう思ってきたんです

 

――そのチャンスが1021日の北海道コンサドーレ札幌戦だった、と。貴重なチーム2点目を決めて、久しぶりに訪れたチャンスをモノにしました。試合前日、井上健太選手にLINEを送ったと伺いました。

 

「健太と一緒にメンバー外練習することが多かったんです。チームがACLで中国に行った時も、オレと健太は高校生や大学生と練習する日がありました。そうやって一緒に過ごす時間が長くなって、絆ができたというか、仲が良くなりました。

 

 

 

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