「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

「分かりやすく目立たなくていい。どこかで誰かが見てくれていれば。そんな自分が勝利とタイトル獲得に貢献できたらいい」[松原健インタビュー(後編)]

 

【松原健選手インタビュー(後編)】

実施日:9月27日(金)

インタビュー・文:藤井 雅彦
写真:星 智徳
協力:横浜F・マリノス広報室

前回からつづく

 

「正直言うと…、ヤマが羨ましいです」

 松原健はそうつぶやき、ほんの少しだけ苦笑いを浮かべた。

反対サイドに位置し、豪快なミドルシュートやクロスなどでゴールに絡む山中亮輔。同じリオ五輪世代の仲間で、しかも同じタイミングでF・マリノスに加入した同期は、利き足こそ違えども意識せざるをえないプレーヤーだ。

「ヤマがトロなら、オレはガリ」

 決して自虐ではない。寿司に欠かせない名脇役に自身を重ね合わせ、新たなサッカー観とともに進化していく。

 

 

――山中亮輔選手はゴールに絡む回数が多く、パフォーマンスがとても目立ちます。

「チームは昨年からサッカースタイルを大きく変えましたが、同じサイドバックとしてヤマ(山中亮輔)の攻撃力を生かそうという考え方は変わっていません。相手としても、ヤマは後ろにいるより前にいたほうが嫌なはず。だから自分は常にバランスも意識しながらポジションを取っています」

 

――同じサイドバックとして特別な意識や感情はありますか?

「ヤマが得点に絡んで勝った試合のトラッキングデータを見たことがあって、ヤマの走行距離が9キロ台で自分は10キロ後半走っていたんです。その時、一瞬だけ『オレのほうが走っている』って思ったことがあります(笑)。ヤマは目立つことができるので羨ましいと思っていた時期もあります」

 

――では両サイドバックを寿司ネタに例えると?

「ヤマがトロなら、オレはガリ。目立たないけどいつも近くにいるよ、みたいな(笑)」

 

 

――トロのあとにガリを食べると口の中がスッキリします。

「トロにはトロ、ガリにはガリの良さがあるので。羨ましいと思っていた気持ちもだいぶ落ち着いてきました。他の部分でもチームに貢献できることはあるはずです」

 

――貢献という意味で、手ごたえを感じているプレーは?

「最近はゴールした時、アシストした時だけ目立てればいいかなと思っています。他のプレーでは分かりやすく目立たなくていい。攻撃では起点になるプレーに手ごたえを感じています。守備では何気ないカバーリングで相手のチャンスの芽を詰めた時。ボールに関与していないので、僕だけを見ていなければ見えないプレーかもしれません。どこかで誰かが見てくれていればいい。ただ…」

 

――ただ?

「僕は失点場面で目立つことが多い。それは極力減らしたいし、自分の課題だと思っています」

 

 

 

 

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