「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

なんでそんなにキラキラしてるの? ずるいよ、宮市くん(笑)[下平匠の「匠の視点」]

 

(匠の視点vol.17)

構成:藤井 雅彦

 

OBの下平匠氏が横浜F・マリノスについて語り尽くす『匠の視点』。

今回のテーマは、もちろん宮市亮。

柏レイソル戦でドラマチックな劇的ゴールを決めたヒーローに対し、下平匠が抱いた特別な感情とは。

怪我による長く、辛いリハビリ生活を乗り越えた先に描かれた最高の景色は、見ている者すべてを感動へと誘った。

 

 

リハビリって順風満帆にいくことのほうが少ないんです

 

マリノスサポーターのみなさん、先週末も最高の週末でしたね。いや、もしかしたら週末史上最高かもしれない!!

そう、宮市選手の復帰後初ゴールです。マリノスだけでなく日本中が待ち望んでいたといっても過言ではない、まさに歓喜の瞬間でした。

 

 

しかも後半アディショナルタイムの逆転弾。昨年7月に怪我した右足を思い切り振り抜くと、DFにブロックされたボールがゴールにゆっくりと吸い込まれていきました。

本当に、こんなドラマがあっていいのでしょうか。

3度の前十字靭帯断裂。その影響は周囲の腱や筋肉にも炎症などの形で影響を及ぼしていたでしょうし、ほかにも足首の靱帯や太もも裏の肉離れなど、彼のサッカー人生は怪我との戦いでもあったと聞きます。

 

 

離脱している時間をすべて足したら、たぶん4年くらいはプレーできていない計算になる。決して長いとは言えないプロサッカー人生において、4年という年月はとても長く、重たいもの。仮に高卒から35歳までプロ生活があったとしても約4分の1にあたる時間です。

それに怪我での離脱は、肉体だけでなく精神的にもかなり辛い。

僕はマリノス在籍時、怪我がなかなか治らずに約10ヵ月離脱した苦しい経験があります。もうすぐ復帰できると思ったら怪我が再発し、治療に良いと言われるものを試したことは数知れず。もう治らないのかな、と心の中でつぶやいたのも一度や二度ではありません。

 

 

ようやく迎えた三ツ沢での復帰戦。わずかな出場時間でしたが、あの日の景色やファン、サポーターのみなさんからもらった声援は忘れられません。こんなにも長い時間、サッカーの試合から離れた経験はありませんでした。それを何度も経験するなんて想像できないし、とても乗り越えられる自信はありません。

でも彼はやってのけた。復帰する過程でたくさんの苦労や困難があったはず。リハビリって順風満帆にいくことのほうが少ないんです。三歩進んで二歩下がるならマシなほうで、四歩も五歩も下がる日があるから。そのたびにメンタルがやられる。

宮市くんと二人三脚でリハビリのサポートをしていたのが日暮清さん。僕も2017年からの1シーズン半だけですが、お世話になりました。

 

 

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