「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

ギアチェンジする策はあるはず [J18節ガンバ戦レビュー] (藤井雅彦) -1,279文字-

 

4-3-2-1_後半戦マリノスは主体的で躍動感あるサッカーを目指すのではなかったのか。その体現方法のひとつが、攻守の切り替えの早さを起点とする前線からのプレスだったはず。それなのに対戦相手の性質や季節によって戦い方をコロコロ変えていては、いつまでたってもスタイルなど根付かない。ただのその場しのぎでしかない。

勝つために、たしかにガンバ大阪の2トップをケアする必要はあった。宇佐美貴史は抜群のボディバランスでボールを前に運び、パトリックは日本人にはない身体能力で推進力をもたらす。彼らにボールが入り、簡単に前を向かれたら、おそらく失点は免れない。事実、1失点目は宇佐美に前を向かれてボールを運ばれ、中澤佑二がたまらずファウルを犯したことが遠因である。

しかしながら相手2トップをケアするのとスタイルを放棄するのは同じ意味ではない。前半の戦いぶりは、いったい何を目指しているのかまったく見えない内容だった。自陣に引きこもり、チャレンジせず、シュートはわずか1本に終わった。相手も同じく低調だったためスコアレスで終わったが、そういう局面だからこそ能動的に試合を動かすべきではなかったのか。

 

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後半に入ってもテンポはほとんど上がらず、指揮官も相変わらず動けない。兵藤慎剛から藤本淳吾へのバトンタッチではチームの性質は大きく変わらないのだ。つまり、これはアリバイ的な交代でしかない。手は打ちましたよ、と。ピッチ内には明らかな不出来な選手がおり、しかしそこに着手できない。だからチームは変わらず、試合をモノにしようという意欲も見えない。

G大阪4-4-2 最後は「向こうは一発を持っている」(中澤)という能力に屈した。遠藤保仁のリスタートが日本屈指の精度を誇ることはサッカーファン以外でも知っているだろう。パトリックの身体能力はたしかに脅威だが、中澤とともに守備の要のはずの栗原勇蔵がマークを外してしまえば、失点して当然である。

終わってみれば2-0というスコアになったが、相手の内容が明らかに上だったとは思わない。後半途中まで、いやもしかしたら得点場面を除けば同じように低調だった。悔やまれるのは、そういった相手に何もできず敗れたことだ。たとえ試合の入り方や前半が低調でも、途中からギアチェンジする策はあるはず。試合が始まってから何も手を打てない指揮官では、勝てる試合も勝てない。

優勝争いしていた昨年からそれなりの月日が流れ、マリノスはいつの間にか並以下のチームになってしまったようだ。

 

 

 

 

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