『これぞマリノス!』と叫びたくなるような勝利。 数々の困難をはねのけ、アンデルソン・ロペスのダメ押し弾で2連勝を飾る [ACL 4節 シドニーFC戦レビュー]
アタッキングフットボールに染まった岩田
岩田智輝が持っている溢れんばかりの才能がベトナムの地で光り輝いた。
この試合はチーム編成の都合もあってセンターバックで先発。今大会ここまでは一貫してボランチの一角を担い、攻守両面で力強さを見せていた。本心としてはボランチでのプレーを望んでいるのだろうが、優先するのはあくまでもマリノスの勝利。至って冷静に、我を出すことなく、最終ラインで堅実なプレーを続けた。
後半が始まって全体の足が止まりかけても、背番号24は疲れの色を見せることなく走る。とはいえ守備はひとりでは成立しない。実際にチームがピンチを招いた場面もあった。シドニーFCの決定力不足に助けられた感もあるが、いずれにしても岩田は悶々とする時間を過ごしていたのだろう。
ようやく見せ場がやってきたのは87分。2点をリードする有利な展開とはいえ、角田涼太朗の一発退場によって数的不利の状況だ。普通のセンターバックならば攻撃参加を自重し、当然のように守備に軸足を置くはず。
だがマリノスと、アタッキングフットボールに染まった岩田は違う。
最終ラインでボールを持つと、相手のプレスを2枚同時に剥がすドリブルで相手陣内に持ち上がり、テクニカルな浮き球パスでサイドへ展開。そのまま前線で機をうかがい、藤田譲瑠チマの縦パスに対してエンドラインまで走り込んで中央へ折り返す。
完璧なラストパスに対してフリーで待っていたアンデルソン・ロペスが決めた瞬間、岩田は両膝をついて力強いガッツポーズを繰り出した。チームにとってのダメ押しゴールを演出し、持っているポテンシャルをこの状況と時間帯に発揮。会心のワンプレーでチームの勝利を確実なものにした。
能力の高さゆえに複数ポジションをこなせてしまうトリコロールの宝物。最近の充実ぶりとスケール感は、日本どころかアジアにもとどまらない。
實藤は負傷した模様で、角田は一発退場に。冷や汗を流すピンチもあったが、数的不利をはねのけてダメ押し点を奪う。このエンターテインメント性こそ、マリノスのサッカーだ。
守り勝つつもりなど毛頭ない
それにしても『これぞマリノス!』と叫びたくなるような勝利だった。
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