「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

内容よりも結果、中澤佑二も「新潟をリスペクトすべき」 [J6節新潟戦プレビュー] (藤井雅彦) -1,602文字-

 

どうにも良い思い出がない。悪しき流れはスタジアムの名称が『ビッグスワン』だった頃から続いており、08年以降は2分4敗と当地で1勝も挙げられていない。栗原勇蔵が自陣で転倒して失点したり、齋藤学が腹筋を肉離れしたりと、個々もあまり良い印象がないだろう。チームとしても、昨年は開幕6連勝の状態で意気揚々と臨んだが、肩透かしを食らうようにシーズン初黒星を喫した。まさに「鬼門」(兵藤慎剛)である。

4-2-3-1_兵藤アウェイの新潟戦で真っ先に思い浮かぶのは、肌寒い気候と悪天候だ。昨年もほぼ同時期に行われ、ナイター開催の影響もあってみぞれ混じりの極寒だった記憶がある。今年は13時キックオフだが、残念ながら快晴にはならなそうな予報だ。それどころか昼間なのに厳しい冷え込みに襲われる可能性もある。それだけでもう憂鬱でしかない。

天候同様にマリノスのチーム状態もなかなか晴れない。先日のACL第4節メルボルン・ビクトリー戦で公式戦の連敗を『3』でストップしたものの、一時期の強さや安定感は感じられない。昨季の同時期と比較したときに運動量が絶対的に足らず、プレスに迫力がない。原因が数人のメンバーチェンジなのか、あるいはACLと並行した戦いによる疲労やコンディションの問題か、それとも年齢が1歳ずつ上がっている衰えなのか…。現時点で原因を断定することはできないが、何はともあれチーム状態は良くない。

そのタイミングで対峙するチームとして、アルビレックス新潟は最悪の類と言えるだろう。昨季の対戦成績は2戦2敗で、いずれもマリノスが良さをまったく出せずに終わった。「去年は1回も勝てなかったし、1点も取れなかった。相手はウチになかなかサッカーをさせてくれない」(樋口靖洋監督)性質のチームである。昨季まで新潟の一員としてマリノスを苦しめた三門雄大は「苦しい戦いになるかも。新潟はシュンさん(中村)を潰しに来る。そこにいい形でボールが入ればチャンスになるけど、やっぱり苦手なタイプの相手かもしれない」と分析する。

 

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新潟4-4-2いただけないのは、そういった相手と知っていても頑なにスタイル完遂だけを考えることである。ただ指揮官は「相手のプレスに対して勇気を持ってボールを握れるかどうかがポイントになる」と言いつつも「引いてブロックを作る時間帯も必要かもしれない」と柔軟に戦うことを認めている。プレスをいかにかいくぐって、能動的にゴールを狙えるか。たしかにマリノスが目指すべき理想だが、毎回うまくはいかないものだ。事実、それに固執して敗戦を繰り返してきた相手である。ならば勝つための方策が必要だ。

中村俊輔は言う。

「自分たちのスタイルだけではいけない。スタイルを出しつつ、相手を尊重して、ブロックを作ってスペースを与えない時間帯も必要。そういう、したたかな戦い方が大事になる。相手にボールを持たせて、半分より後ろでブロックを作るのも悪くない」

 どこかで割り切りが必要で、それを試合中に実践できるかどうか。中澤佑二も「新潟をリスペクトすべき」という趣旨の発言をしており、チーム内で意思統一するのは重労働ではないはず。最優先はリーグ戦連敗ストップで、内容よりも結果だ。悪天候で寒い新潟の地で、渋く勝ち点3を拾ってもらいたい。

 

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