これは利害の話ではない。 サッカーを志す者たちだからこそのヒューマンドラマだ。
アンジェ・ポステコグルー監督がマリノスを離れた。
セルティックといえば欧州が誇る名門クラブで、人気・実力ともにスコットランドのトップ・オブ・トップである。2020-2021シーズンこそ2位に終わって10連覇を逃したが、それでも欧州チャンピオンズリーグに予選2回戦から出場できる。勝ち進めば欧州のビッグクラブと対戦し、その名を世界に轟かせることができる。
ポステコグルー前監督がオファーを受けたのはそんな世界的なビッグクラブである。個人のキャリア形成だけを考えれば間違いなくステップアップで、悩む余地などない。55歳という年齢も決して若くはなく、欧州でチャレンジしたいと考えるなら、これがラストチャンスかもしれないのだから。
オファーを受けた時点で本人の意思がほぼ固まっていたのは自然で、マリノスもすぐさま後押しする体勢を整えた。相思相愛の関係だったからこそ、話がこじれることなく方向性をすぐさま一本化できた。ポステコグルーが充実した時間を過ごし、やりがいのある仕事をしていた証拠だ。
マリノスとしてはもちろん引き続き指揮を執ってもらい、再びタイトルを獲得したかった。契約で縛りつけることもできなくはなかった。しかし、それでは心の中にモヤモヤが残り、両者の間にしこりが残ってしまう。これまで国内・海外問わず移籍を志願した選手にそうしてきたように、快く送り出すことがベターな選択だった。
これは利害の話ではない。サッカーを志す者たちだからこそのヒューマンドラマだ。
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