「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

勝ちゃあいいだけっしょ!(比嘉) [J34節・川崎戦プレビュー] (藤井雅彦) -1,462文字-

ここは比嘉祐介のコメントを引用したい。アルビレックスに敗れ、ホーム最終戦での自力優勝を逃した。チームはオフを挟み、3日から再始動した。その日はどこか重苦しい雰囲気がクラブハウスを支配していた。そこで、比嘉の言葉である。

「(落ち込む)意味がわからん。次、勝ちゃあいいだけっしょ!」

4-2-3-1_best 練習終わりに何気なく発した言葉がこのような形で掲載されるとは思っていなかっただろう。しかし、あえて掲載したかった。いつもそうなのだが、比嘉の言葉は無邪気でストレートだ。邪念がまったくない。キャラクターも大きく影響していると思うが、彼の言葉によって筆者自身も平常心を取り戻せたような気がする。

勝てば優勝を決められる。この条件は前節と変わらない。サンフレッチェ広島や鹿島アントラーズにも優勝の可能性は残されているが、あくまでマリノスが敗れたときの話である。広島が引き分け以下の場合は、マリノスは勝敗にこだわる必要があまりない。鹿島が。大量得点でリードしているときのみ得失点差も考えた試合運びが必要になるが、実質的にはマリノスと広島の一騎打ちと見ていい

マリノスに関係する人は鹿島を応援してやまないだろう。でも、勝たなければ優勝はできないと考えたほうがいい。まずは人事を尽くさなければならないのだ。34分の1であり、今シーズンの結果を決める試合でもある。この90分間ですべてが決まる。

 

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先週から大挙していた報道陣は今週に入り、やや熱を下げたように感じる。筆者自身も含めて、チームを取り囲むメディアは慌ただしく生活していた。そんななか、選手は淡々とこの試合に向けて準備を進めた。結果論ではあるが「振り返ると、先週の金曜日はどこかフワッとしたとこがあったかもしれない」と樋口靖洋監督は話した。それが今週に関しては「思った以上に吹っ切れて一週間のトレーニングに取り組めたと思う。伝えるべきことは伝えたし、選手を見ていてもしっかり戦えるという手応えがある」と自信を口にする。

4-2-3-1川崎 大一番を前に、ベストメンバーが揃った。新潟戦以降、右太もも裏の違和感を訴えていた中町公祐であったが、試合前々日の紅白戦から無事に合流。万全とはいえないが、試合出場に支障はない。体調不良のため水曜日の練習を休んだマルキーニョスも木曜日から復帰した。新潟戦後の落ち込みようはすさまじかったが、そこは百戦錬磨のベテランである。気持ちの切り替えをすませ、川崎フロンターレから得点を奪うことに集中しているようだった。

「簡単には優勝できない」(栗原勇蔵)。前節、あらためて優勝することの難しさを痛感させられた。中町は「それを経験できたのもサッカー人生においてはプラス」と笑顔を見せた。すべてを力に変えて「有終の美ってヤツ」(中澤佑二)をつかみたい。そのためには「いつものことをどれだけできるか」(中村俊輔)。

マリノスらしく34試合目を戦い、優勝を掴み取れ。

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