「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

得点こそセットプレー2発だが、これもサッカー。この日はプレーオフステージに進出したことがすべて [Lカップ 6節 新潟戦レビュー]

 

 

直近のリーグ戦から先発を6選手入れ替えたが、反対に言うと主力の約半数が先発していたという意味でもある。ディフェンスリーダーを務めた栗原勇蔵が「今日は普段のリーグ戦に出ている選手が半分くらいいて、その選手たちは要領も分かっているし体も動いている。今日は味方ながら差を感じた」と話したとおり、やはり戦術理解度や表現力という点で彼らはチームの先頭グループを走っている。

しかし、前半途中にアクシデントに見舞われる。中盤の核となっていた喜田拓也が右足首付近を負傷。タッチラインの外で応急処置を施してピッチに戻ったが、その数分後の38分に交代を余儀なくされた。開幕直後は中盤のアンカーとして、そして最近は一列上がったインサイドハーフで起用されている背番号5は、チームスタイルを体現する先駆者だ。ミスを恐れず果敢に前を向こうとする姿勢は、全選手のお手本である。

試合後は患部を固定し、松葉杖をつきながらスタジアムを後にした。大事を取って交代したという類ではなさそうで、中2日で臨む週末のリーグ戦出場は難しいだろう。開幕して間もなく負傷に見舞われ、その後もアクシデントが続いている。心身ともに苦しい時間になっているが、チームに必要不可欠なのは間違いない。早期復帰を待ちたい。

そしてピッチ上では、新星が眩い輝きを放った。山田康太である。

 

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序盤こそ無難なプレーが先行していたが、徐々に本領発揮。相手との間合いをしっかり把握でき、空間認知能力にも長けるから、プレーの選択に間違いがない。淀みなく流れる清流のような身のこなしで、攻撃の勢いをスムーズに加速させる。金井貢史の半ばクリア気味の浮き球パスを受け、ワンタッチで相手を置き去りにしたプレーは、まさしく才能の成せる業。観ている者のハートをすぐに掴めるプレーヤーは、そう多くいない。ベースの部分でしっかり闘えることも大きく、おおいなる可能性を感じさせた。

そんな特別な日を勝利で飾れたことを安堵したい。得点こそセットプレー2発だが、これもサッカーである。この日はプレーオフステージに進出することがすべてで、内容は二の次。チームの進捗を確かめる意味合いもあるとはいえ、負ければすべてが台無しになる。ここまでのルヴァンカップ5試合でいろいろな出来事が起きた。それらすべてをポジティブに振り返ろうと思えるのは大会が続いているから。右ふくらはぎの負傷でアルビレックス新潟戦に出場できなかった下平匠の貢献も、チームの次ステージ進出によって報われた。

長かった15連戦も、残すは19日のV・ファーレン長崎戦を残すのみ。カップ戦の勢いをリーグ戦につなげたい。マリノスは過酷なロードの最終章を上げ潮で迎えられそうだ。

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