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【今週の小平】J1第13節徳島対東京前日レポート◆「声をかけたり、自問自答して、隙なく入っていきたい」(高橋)「相手に“あっ、行けるかも”と思われるのは嫌なこと。守備からきっちりやらないといけないのかもしれない」(羽生)[3,290文字](2014/05/09)

J1第13節徳島対東京前日レポート◆「声をかけたり、自問自答して、隙なく入っていきたい」(高橋)「相手に“あっ、行けるかも”と思われるのは嫌なこと。守備からきっちりやらないといけないのかもしれない」(羽生)

きょう5月9日、FC東京は午前9時から前日練習をおこない、遠征地の徳島に向けて出発した。あす10日14時からは鳴門・大塚スポーツパーク ポカリスエットスタジアムにて、徳島ヴォルティスを相手にJ1第13節を戦う。

徳島にはFC東京U-18出身の藤原広太朗がいる。「試合に出ていっしょに対戦したい」と、藤原とのピッチ上での再開を心待ちにする三田啓貴は、しかし危機感を露わにする。
「(相手が最下位だとか)そんなことは言っていられない。一個負ければ降格圏に落ちますし、そう考えたら勝って波に乗るしかない。次に負けたらやばいという気持ちではなく、次をしっかり勝って流れを持ってくるという気持ちで戦うしかないと思います」
相手も最下位で苦しんでいるが、東京も三連敗で降格圏内が近づいてきてしまっている。ここのところ東京が白星を譲ってきた名古屋グランパスや大宮アルディージャのように、必勝を期して臨まなければいけない。

選手たちも覚悟は十分にしている。高橋秀人は言う。
「三連敗しているので、ただならぬ覚悟を持って試合に臨みたい。人間はどこかしら甘えてしまう生きものなので、言葉や気持ちでは“相手が最下位でも気を引き締めてやろう”と言っていても、どこかしら甘えとか油断、隙というものはできてしまうもの。それをかぎりなくゼロに近づけるために、チームメイトに声をかけたり、自問自答して、心構えとして隙なく入っていきたいと思います」

サッカーの試合は、選手の能力値を足した合計の競争ではない。ずっとボールを支配していても、0-1で敗れてしまうのが最近の東京だった。試合中にも落ち着きを失わず、忍耐強くやるべき同じプレーをつづける必要がある。
「アクシデントがあっても冷静に戦いたい。誰かがけがをしたとか、先に点を入れられたのだとしても、ふだんどおりの気持ちであわてないで、テンポを上げすぎずにやらないと。そういうところからずるずるといってしまうので」(高橋秀人)

「誰が相手でも100%を出しきらないといけないと、選手たちには常に言いつづけています」
こう言うのはマッシモ フィッカデンティ監督だ。彼と、そして東京にとっては朗報がある。羽生直剛とカク ヒジュが8日木曜日に部分合流、本日9日金曜には全体合流を果たしたのだ。
「(羽生直剛、カク ヒジュが全体練習に復帰して)まちがいなく選択の幅は拡がった。いま加賀選手に少し問題がありますが、彼らが帰ってきたことはいい要素だと考えています」

「復帰二日くらいで……監督には感謝しています」と言う羽生。彼は「ベンチの軸」と、やや自嘲気味に自らを評する。ただこれは謙遜ではなく、実際に羽生がしようと心がけていることでもある。
「勝っていたときは試合前の雰囲気がすごくよかった。自分が入ったら、きっちりアップからみんなといっしょに雰囲気づくりを──それは自分がやることでもあると思うので──やりたいと思います。みんな、やるべきことはわかっている。一人ひとり考えて。いいモチベーションでいいメンタルをつくってやれば結果はついてくる」

出場すればこうしようというシミュレーションももちろんできているが、それはチームとしてどう試合に対処すべきかという考えに依拠している。
その点で羽生はじつに俯瞰した視点で現状を把握していると思う。現在の東京について分析してもらったところの要点を、一問一答形式で列べていくと以下のようになる。

 

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──ここ数試合の東京は、前後が分断されているのでは?
羽生直剛 (負傷でベンチ外だった期間、外から)観ていて、中盤は守備の負担も大きいですし疲れていることもあって。連戦でぼくがいつでも行ける状況じゃないといけなかったと思うんですけど、脚が動かないときとかにテンポが悪くてボールが廻らなかったり、つくりの段階でうまくいっていないこともあります。
ベースとしてはきっちり守って、たとえば中盤の選手は守備をオーガナイズしながら前線の三人に丁寧でつなぐのがまずはやらなければいけないこと。フレッシュな状態ではないのにやりきるのは難しいと思いますけど、そのうえで、いい時間帯にものにすることが大事。最低限のことはやったうえでの敗戦ですから、悲観的になりすぎず、ポジティヴに。自分が入ったらその状況に合わせたプレーをしたいと思っていつも準備しています。

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