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【ニュース/無料記事】阿久根謙司社長が大塚で演劇とサッカーについて喋った!(2013/05/24)※05/25写真追加およびテキスト追記[4,083文字]

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5月23日、FC東京の阿久根謙司社長が東京・大塚の萬劇場にて演劇とサッカーについてのトークを繰り広げた。劇団「ZIPANGU Stage」の劇団創設20周年記念公演『ものすごいオジさん 4 Red Hot Uncles』のアフタートークイベントに登壇したもの。前日22日にはラグビージャーナリスト・JSPORTS解説者の村上晃一氏が登壇、本日24日夜は落語家・立川流真打の立川談修、25日夜はファルスシアター主宰・日本コメディ協会会長・日本アメリカ演劇学会員の遠藤隆之介氏が登壇予定。

 

約1時間40分の『ものすごいオジさん』観覧後、舞台に上がった阿久根社長は観客に向かい、自身とFC東京について自己紹介。その後、芝居の感想や、演劇とサッカーの共通点などについて述べた。

阿久根社長とZIPANGU Stageの出会いは2011年の「せんがわ劇場演劇コンクール」に遡る。テーマは『FC東京~FC東京のある“まち”~』で、ZIPANGU Stageは、2010年のJ1最終節でJ2降格が決まればとあるカップルが別れる――という筋書きの『青と赤のスタジアムで』でFC東京賞を受賞。同年、スタッフ、選手向けに再演をしている。阿久根社長はこのときを振りかえり、劇中に平山相太を厳しく指弾する台詞があったため、いたたまれなくなった平山が途中で帰ってしまったエピソードを開陳。また「シュート撃て!」コールが出るような試合のあと真っ先にゲートに向かい、ファンに挨拶していると言って笑いを誘うなど、興味深い内容で30分間を盛り上げた。

 

『ものすごいオジさん 4 Red Hot Uncles』は本日以降、24日14時/19時、25日14時/19時、26日14時から、あと五回の公演をおこなう。

http://members.jcom.home.ne.jp/zipangustage/zipangu/nextplay/Nextplay.html

 

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最後はじゃんけん大会で勝った方にFC東京マフラーと『ものすごいオジさん』Tシャツをプレゼントした!

最後はじゃんけん大会で勝った方にFC東京マフラーと『ものすごいオジさん』Tシャツをプレゼントした!

 

 

◆阿久根社長のトーク内容要約(追記5月25日)

 

『青と赤のスタジアムで』のときは、滝沢久美さんが佐土原正紀さん(おじさん役が得意)とカップルで、この試合(2010年J1最終節京都サンガF.C.対FC東京)で負けたら別れよう、という感じの始まりだった。滝沢さんが、ふだんおばあさん役が得意な役者さんだとは存じていなかった(笑)。

実際のサポーター同士でも結婚される方がいるが、まさしくそういう人間模様を『青と赤のスタジアムで』で描いていただけた。

選手にどうしても観せたいと思い、コンクールから半年後、せんがわ劇場を借りきってグランプリ作品とFC東京賞の『青と赤のスタジアムで』の再演をしていただいた。

グランプリより先に『青と赤のスタジアムで』を演じていただいたところ、村上健司さんが平山相太に罵声を浴びせる役で、その怒号にいたたまれなくなった平山相太が途中で帰ってしまった。

ぼくはサッカーも芸術だと思っていて何かを学んでもらいたいから選手にも観てもらった。ミスター東京と呼ばれた藤山竜仁もきょうの公演に来たかったのだが、いま関東一高の指導をしていて間に合わない。もしかしたら日曜までに一度来るかもしれない。

『ものすごいオジさん』の感想。村上さんは今回はお坊さんの役だったが、毎回演じる役柄が異なり、そのたびに味がちがう。変わらないのが滝沢さん(ほぼ毎回おばあさん役)と宮本ゆるみさん(ほぼ毎回謎の東南アジア系外国人役。語尾に「~ダカラ」がつくあやしい日本語)。佐土原さんのおやじギャグもいかにも。はまり役が多かった。主人公を演じた米田京平さんの眼つきも前回作品から夢に出てきそうでとても気になっている。

気を遣っていただいてすみません、ほうきでゴミを掃きながらウチの応援歌を歌っていただいて(※『ものすごいオジさん』の舞台は縁側のある裏庭の部屋一カ所のみ。そこにおばあさん役の滝沢久美が入ってくるとき「たたかえ~おれの東京」などとチャントを挟む)。

演劇に似て90分間+アディショナルタイムも含めてどういうストーリーを描くか、われわれの試合もストーリーがあるときのゲームはすごく楽しんでいただけて評判がいい。

昨年はパスを廻すサッカーをしたくてそういうサッカーを得意とするランコ ポポヴィッチ監督を呼んできたのだが、すぐにはできなかった。パスを廻すと相手に詰められての繰り返しでシュートが撃てない。ウチのサポーターは厳しいので「シュート撃て!」コールに晒された。試合が終わった瞬間ゲートに行って「すみませんでした」と頭を下げた。つまらないゲームに行ったら、お金を払ったのにストレスがたまって最悪の日になってしまう。せめて謝罪を受け入れていただくか文句を言って帰っていただくかしないとサポーターの方にとっては割にあわない。先日の2-0で負けていた対ジュビロ磐田戦では、最後の20分間くらいで、怒涛の攻撃で同点に追いついて終わったところ、大喜びしていただけたが、よく考えたら70分間はつまらないゲームをしていたことになる(苦笑)。

このお芝居『ものすごいオジさん』は1時間40分もあって、つまらない時間はほとんど含まれておらずおもしろい。選手にもこういう芝居と比べて共通性を見出したり感化される部分があってほしいと思う。

(「フォーメーションプレーなどにサッカーと演劇の共通点を見出すときがある、誰かが間を外したりするとみんながフォローして次の話に進める」という司会の作・演出/今石千秋の言を受けて)そういう話をするとベテランはわかってくれる。若手はまだぴんと来ていない。わかるようになるとゲームに味をつけられる。

開始1分なのにコーナーキックに歩いていく姿は観ていてつまらないという方が多い。ふだんの生活態度がサッカーにあらわれるのだが、若い人にはそれがわからない。ベテランはファンへの受け答えがよく、子どもの目線に下がって接することもできる。

石川直宏もそうとう自分勝手でマイペースだった。もっともマイペースなのはいまも変わらず、バスが出るぞというのにまだごはんを食べている(笑)。しかし以前よりも人のことを考えるようになり、ファンサービスに一時間をかけることも珍しくない。

その点、みなさん人間性の感じられるお芝居に感心する。

とはいえ、潰さないほうがいいこともある。野球のピッチャーやサッカーのフォワードは自分勝手でいい。それを潰すと丸くなる。キーパーやディフェンダーが見ておいてやればいい。

言われてやらされる選手にしない、自立させるのがモットーです。J2に落ちたとき、選手は「降格するチームではないと周囲に言われていたので自分たちもそう思っていました」と言ったが、それに「ちがうよ」と言った。落ちるべくして落ちているんだから、それは自己否定だと。一回全部受け入れて、自分で直して勝とうよと言った。監督ではないと。それがわかって彼らは勝ち始めた。

監督やスタッフを除いて選手たちだけでミーティングをおこない、自分たちがめざすサッカーはこれだと監督に進言した。それを受け入れた監督はもっとすごいのだが、以降は7連勝するなどほぼ負け知らずになった。

いまはパスをワンタッチでつなぎ、相手を翻弄するおもしろいサッカーをめざしている。ストーリーのある試合をライヴでお観せできると思うので、ぜひスタジアムに足を運んでいただきたい。

 

 

◆『ものすごいオジさん 4 Red Hot Uncles』概要(追記5月25日)

 

ZIPANGU Stage vol.38 萬劇場提携 劇団創設20周年記念公演

ものすごいオジさん 4 Red Hot Uncles

2013年5月22(水)~26日(日) @萬劇場(劇場提携公演)

CAST

新田正継 滝沢久美 佐土原正紀 村上健司 宮本ゆるみ 世古新 石牧孟 米田京平

矢吹ジャンプ(ファルスシアター) 松本淳 澤木さやか 森山あゆみ(ゆーりんプロ) 林まりえ 長野耕士

アフタートークイベントゲスト

村上晃一(ラグビージャーナリスト・JSPORTS解説者)

阿久根謙司(FC東京社長)

立川談修(落語家・立川流真打)

25日(土) 遠藤隆之介(ファルスシアター主宰・日本コメディ協会会長・日本アメリカ演劇学会員)

STAFF

作・演出 今石千秋

演出補 井上史浩

照明 猿谷香織/(有)SPC

音響 田島誠治/ SoundGimmick

舞台美術 鎌田朋子

舞台監督 稲毛健一郎

宣伝美術 久原大河/松下由紀

制作 ZIPANGU Stage 制作部

TICKET  料金 (全席自由・日時指定券) 前売 3500円 当日 4000円

劇場へのアクセス  住所 豊島区北大塚 2-32-22 萬ビル(JR山手線『大塚』駅北口より徒歩7分)公演・チケットに関するお問い合わせzipangustages@gmail.com

 

《ストーリー導入部分》

先代の12回めの法要を迎えた王子家。長男の一郎、次男の次郎、三男の佐武郎、四男の志郎、四人のオジさんは互いに犬猿の仲だった。

その環境で一郎の長女和海(かずみ)と次郎の長男雅彦(まさひこ)はいとこ同士ながらただならぬ関係にあり、結婚を願っていた。それぞれの父親に反対される可能性が高いが、この親戚一同が集まる法事の機会に、結婚の話を切りだしたい。

ところが当日の朝、雅彦が四人のオジさんに「結婚は許さん。認めない」と迫られるおそろしい夢にうなされるところから、事態はどんどんカオスになっていく。

はたして結婚は認められるのか、四人のオジさんの関係修復は果たされるのか。課題の解決に向けて動けば動くほど混迷するなかにギャグを隙間なく盛り込んだ爆笑必至のシチュエーションコメディ。

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