「スタンド・バイ・グリーン」海江田哲朗

【フットボール・ブレス・ユー】第64回 奇遇なふたり(23.9.13)

第64回 奇遇なふたり

非公開練習の日、トレーニングから引き上げてくる選手たちをクラブハウスの前で待っていた。

炎天下、ゆるやかな坂道の上は陽炎のようにぼんやり揺れている。盛んに話しながら下りてきたのは長谷川竜也と加藤蓮だ。サイドでパスを引き出す際の身体の角度、頭上を越すボールを視野に入れながらのランニングを長谷川がレクチャーしていた。

「コミュニケーションを取ることで、試合のときにちょっとした有利な状況をつくれる。観ている人にはわからないかもしれませんが、ほんの少し時間ができて、それによって前を向けたり、プレーの選択肢が増えたりします。蓮との関係では、この前の試合ですでに何度かそういったシーンがありました」

長谷川はそう言った。

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