「スタンド・バイ・グリーン」海江田哲朗

【有料解除】【トピックス】シーズン前半振り返り&『SBGヒーロー2021』中間報告・中編(21.7.26)

加藤弘堅は満場一致の選出。攻守において主軸を担い、とにかく頼りがいが抜群だった。

加藤弘堅は満場一致の選出。攻守において主軸を担い、とにかく頼りがいが抜群だった。

■活躍の目立った小池純輝と井出遥也

海江田「次はふたりかぶってる小池純輝」

岸上「当たり前のように点を取ってて、みんなありがたみが薄れていませんか?」

海江田「ごめんなさい! 本当にそうだよね」

田中「試合後、オンライン会見に出席する選手の希望をメディア側から出すときがあるじゃないですか。小池選手がゴールを決めたゲームでも、たったふたつしか枠がないものだから……」

海江田「こちらとしては変化をつけたいし、今日じゃなくてもと思っちゃう」

田中「それくらいコンスタントに活躍している選手」

岸上「相手の背後を突くのが巧いですよね。毎試合のようにサイドを入れ替え、難しい役割を与えられているのに。山下を気持ちよくプレーさせるために、ボールに絡まない時間もありながら集中力を切らさず、常に研ぎ澄ましている。枠内シュート率が高いんですよ。むだ打ちしないのもありますが、円熟味を感じさせる部分です。永井サッカーのワイドストライカーを誰よりも体現している選手」

海江田「唯一、不満らしきものがあるとすれば、ピッチ内外で隙がなさすぎること。ゲームにおけるパフォーマンスの高さはもちろん、ファンサービスもぬかりなく、家庭ではよき父親で社会貢献活動も積極的。品行方正な振る舞いは大人のお手本ですよ。でもね、書き手からすると、多少はデコボコしている人のほうが興味をよりそそられるというか」

田中「ずっと裏を狙い、じつに狡猾な動きをしてるのに、人間的には裏表がなくストレート」

岸上「ピッチでキレるとこなんか見たことがない」

海江田「レフェリーの心象は抜群にいいでしょう」

岸上「ただ、気になることも。小池がゲームキャプテンを務めるようになり、勝ち続けていることをクローズアップされ、本人も意識し始めてコメントしたあたりから数試合結果が出ていません」

田中「古巣に強いとかも言われまくって」

岸上「最近、ジンクス漬けすぎるきらいはありますね」

海江田「早い時期から目指せ得点王と煽らないほうがいいのかなあ。しれっとゴールを重ねて、いつの間にか終盤まで得点王争いの圏内にいれば。選手を取り上げる際のフックがほしいメディアサイドとしては苦しいけれど」

田中「そうかもしれないですね。優れた得点力より先に、まずはチームのために守備を怠らず、攻撃にも出ていってこその小池純輝」

海江田「次もふたりかぶりの井出遥也。田中さんは入ってるようなものだね。なんたって、長男坊の名前がハルヤ」

岸上「それ初耳です」

田中「もはや殿堂入りと言いますか。子どもの頃から見てきたジェフユナイテッド千葉の井出選手からいただいたのはたしかなんですが、それだけでもないんですよ。『まほろ駅前多田便利軒』って映画があるじゃないですか。ハルって呼ばれている登場人物がいて(松田龍平演じる行天春彦)、名前の響きがいいな、ハルって呼びたいなと」

海江田「後ろのほうは聞かなかったことにするわ。話がブレる。にしても、井出の切り返し、ターンからのドリブルはすばらしいね」

田中「狭いところでボールをコントロールでき、隙あらば前を向いてくるので、相手は引かなくてはいけなくなる。ボールを持てば矢印を即座に変え、攻撃の方向を自在に動かせるので、相手としては守りづらいでしょう」

岸上「視野が広く、選択肢を多く持つなかで、最後に一番いいと判断したプレーを選んでいる。外を使えて、中にもパスを出せ、その気になれば自分でゴールを狙うことも」

海江田「井出が故障で戦列を離れたときはきつかった」

岸上「あのクオリティの高さが永井サッカーを一段引き上げる。いまのチームで、ユース育ちより永井監督のサッカーにこだわってる感じがします」

海江田「点にはならなかったけど、第21節の松本戦(1‐2●)の切り返しが一番強烈だった」

岸上「あれはエグかった」

海江田「てっきり、シュートを打つまでワンタッチ多かったというプレー回顧かと思ったら、『もう一回切り返せた』と。凡人とは発想が違う」

岸上「J1ならともかく、J2ではめったに見ないタイプ。中盤のインサイドでプレーしていて、あれほどやれる選手はそうそういません」

田中「なお、6月のエル・ゴラッソJ2 MVPに選出されています」

海江田「夏の移籍ウインドーが開いて、戦々恐々としているよ。抜かれた場合のダメージが大きすぎて」

岸上「こないだ、たまたまインスタを見たら、『後半戦はよりいいヴェルディを見せる』という本人のコメントが。あれでいなくなったら僕は悲しいです」

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