「スタンド・バイ・グリーン」海江田哲朗

【無料記事】【トピックス】連載『中根玄暉 新米サッカーコーチの日常』〈6〉(20.7.21)

7月16日(木)
夕刻の環八通り。渋滞に巻き込まれる。横をスーっとウーバーイーツのバックを背負った自転車が通り過ぎる。ついこの間までウーバーイーツを宅配サービスではなく、飲食チェーン店だと勘違いしていた。「ウーバーイーツって美味しいんですか?」先輩へ何となしに投げた質問、大変馬鹿にされた。足繁く行っているチームのスカウティング。声をかけ続けてきた選手から、練習参加すらしないという回答が。こちらの情熱は伝えてきたが、フラれた。愛が足りなかったのか。アプローチの仕方に問題があったのか。ここがわからなければ同じことを繰り返すことになる。

●今回のお題「永井ヴェルディ攻略法」

ヴェルディは、攻撃的なスタイルを貫くチームです。最後尾から最前線まで技術の高い選手を揃えています。ボールを握り続け、相手の出方を見ながらボールを動かすという特徴があります。
この特徴を踏まえ、ヴェルディ側の心理に立ちます。
ヴェルディにとって、何が嫌かを考えると、速いプレッシングによりロングボールを蹴らされること、ボールを持たれること、そして持たされている感覚に陥ることです。
よい守備から攻撃に移るゲームプランを組みます。前線から速いプレッシングを行い、ボールホルダーから判断する時間を削ります。ロングボールを蹴らせる、もしくはエラーを起こさせ、ボールを奪い、少しでも自分たちがボールを握る時間を作ります。ただ、90分間プレッシングをかけ続ける事は難しく、ヴェルディの選手は足元の技術に長けているので、全体をコンパクトにして、ブロックを敷く守備も行います。
大切なことは、流れ、時間帯、スコアによってどのエリアで守備を行うか、チームで意思統一することです。
立ち上がりから自陣のゴール前でブロックを敷くような腰の引けたゲームの入り方をせず、積極的な前線からの守備でボールを奪い、マイボールの時間を増やすこと、3ラインがコンパクトなブロックを敷き、ボールを持たされているという感覚に陥らせることで、心理的に優位に立ち、試合を支配できるのではないかと思います。

【海江田からひと言】
今回のお題は、今季もしてやられた高木琢也監督(大宮アルディージャ)のやり方が最も手堅く見えるが、あれ以外にも勝ち筋(東京Vの負けパターン)を見つけてもらおうというもの。こうした指導者の見解に触れると、常に裏狙いを突きつけておくことの重要性、長いボールの効果的な使い方がなおさら際立ちますね。たまにオフサイドを見せておくことに小さくない意味があるいうか。
ナカネはまじめに生きてるなあ。小学生相手に笑いを取れない自分に悩み、スカウトがうまくいかなかった原因を考え、ウーバーイーツとガストを混同するほど世間知らずなんだけど(それだけサッカーに夢中と好意的に解釈します)、ちゃんと人と向き合おうとしている。僕なんかは私生活におき個人単位で付き合えない人には興味を失いがちなんですが、チームスポーツに生きる人はそうも言っていられないですもんね。そのへんはあなたの美点ですよ。

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※次回は8月下旬を予定しています。

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