「スタンド・バイ・グリーン」海江田哲朗

【無料記事】【トピックス】新連載『中根玄暉 新米サッカーコーチの日常』〈1〉(20.4.15)

緑山サッカークラブで指導する中根玄暉。選手たちに目線を合わせ、問いかける。

緑山サッカークラブで指導する中根玄暉。選手たちに目線を合わせ、問いかける。

■新米コーチの日常をありのままに

サッカーを愛する皆さま、こんにちは!
私、中根 玄暉(なかね げんき)と申します。この度、『新米サッカーコーチの日常』というタイトルで、日記を書かせていただくことになりました。
私は東京ヴェルディにスクールからジュニア、ジュニアユース、ユースまでお世話になりました。東京Vユースの同期には、深澤大輝(中央大/東京V内定)、渡辺皓太(横浜F・マリノス)、大久保智明(中央大/浦和レッズ内定)、松本幹太(桐蔭横浜大/モンテディオ山形内定)、ジュニアユースの同期に古賀俊太郎(レノファ山口FC)がいます。
現在は、東京農業大学在学中の21歳です。昨年度から指導者として新たなスタートを切り、主に町田市の緑山サッカークラブという小中学生のクラブチームで指導をさせていただいております。そのほかに、石神井マメックスFC、所沢ウィングスFC、利根沼田学校組合立 利根商業高等学校サッカー部で指導をさせていただいております。
これから、私の新米コーチとしての日常をありのまま伝えていければと思っております。
皆さま、よろしくお願いします!

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3月20日(金)
新型コロナウイルスの影響による活動自粛期間を終え、明日は約1カ月ぶりに緑山サッカークラブの選手と会える、サッカーができる。選手と会える喜び、選手はどんな表情でグラウンドに来るかという想像、何人来てくれるのか、練習をスムーズに進められるかという不安、色々な感情が駆け巡る夜。まったく眠れない。
昨年もこんな夜が沢山あった。特に、不安な気持ちで一杯になり、緊張する。不安だから、次の日の朝から練習に至るまでの流れ、準備を何度も頭で描く。それを想像しながら眠りにつく。そして次の日がやってくる。

3月23日(月)
春は別れの季節。私の恩師、齋藤芳行コーチからこの日がチームでの練習が最後となる所沢ウイングスの中学3年生の選手たちへ贈られた言葉の一部。
「君たちのサッカー人生は続く。サッカーを誰よりも愛し、サッカーをどれだけ好きでいられるか。君がサッカーを愛さなくても、サッカーは前に進む」
深い。。 かっこいい。俺も言ってみたい。
選手の頃に戻ったかのような気持ちで、選手の心で、それを聞いている自分がそこにいた。

3月25日(水)
緑山サッカークラブの自分が担当する小学3、4年生の練習。最初のミニゲームと最後のデカゲーム(広いピッチでのゲームを指す)は自分も一緒に選手とプレーしながら、気づきを伝えていく。最後のデカゲームの時間。本気で選手とサッカーを遊び楽しむ。時間とともに熱量、激しさが増す。自分も滝のように汗をかいている。デカゲーム終了の笛を鳴らす自分。やりきったという表情で倒れ込む選手を見てホッとする自分。満足感に浸る自分。
帰宅後、今日の練習を振り返る。
反省する。満足感に浸った数時間前の我を。コーチに満足してよい日など一日もない。
選手全員が今日の練習でさらにサッカーが好きになり、上手くなりたい、またサッカーをやりたいという気持ちで帰れたかどうか、選手の心が大切であるが、選手の本当の心うちを確実に読むことはできない。
選手とともに、指導者も成長し続ける。
私はこの振り返りの時間をとても大切にしている。

4月1日(水)
緑山サッカークラブの中学3年生は最後の練習となった。練習終了後、選手から選手一人ひとりのメッセージが入ったメッセージブックを各コーチが受け取った。その中には、「インスタグラムのフォローお願いします」「ゲンキコーチと○ネタを話すのが好きでした」※ピッチ外の時間に思春期真っ只中の彼が一方的な質問攻めをしてきただけで、僕は何も答えていません。
という部類のものも含まれていたが、1年間の短い付き合いだった彼らからのメッセージを読んで一番感じたことは、選手は指導者をよく見ているということ。自分も選手のときそうだった。コーチは自分のプレーを見てくれているか、不安で仕方がなかった。選手の心を思い出し、指導者としてあるべき姿を考えさせられる一日となった。

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